外資規制について Part.2
ここではベトナムの外資規制の4つの分野のうち、「投資禁止分野・条件付投資分野の規制」について紹介します。
共通投資法およびその施行細則を定める2006年9月22日政令(Decree No. 108/ND-CP)において、上記の投資禁止分野と条件付投資分野が定められています。ここでいう投資禁止分野では、そもそも投資自体が禁止されているため、内資であっても外資であっても規制の対象となります。どういったものが規制の対象となるのか詳しく見ていきましょう。
【国防、国家安全および交易を損ねる投資事業】
・不法薬物の製造および加工
・国家の利益および組織と個人の権利と利益を害する分野
・探偵および調査分野
【歴史文化遺産および伝統を損ねる、公序良俗に反する投資事業】
・歴史および国家文化遺産の域内で建設する案件および建築と景観に悪影響を及ぼす案件
・風俗品および迷信を招く物品の製造
・危険が玩具、人格形成および健康に悪影響を与える恐れのある玩具などの製造
・売春および女性、児童の人身売買
【生態環境を損ねる投資事業】
・国際条約に定める化学品の製造
・ベトナムで禁止されている、または使用されていない獣医薬品、植物薬品の製造
・ベトナムで禁止されている薬品、ワクチン、バイオ医療製品、化粧品、化学薬品、殺虫剤の製造
【有害廃棄物処理のかかわる事業】
・ベトナムへ有害廃棄物を持ち込み処理する案件、有毒化学薬品を製造する案件、国際条約において使用が禁止されている有毒化学薬品を使用する案件
また、2021年の法改正により、【債権回収事業】が新たに投資禁止分野に追加されました。以上これらが投資自体禁止されている事業になります。そもそもが内国法や国際法に触れる分野もあれば、ベトナム特有のものもありますね。
次に条件付投資分野を詳しく見ていきましょう。
〈内資・外資共通〉
・国防、国家安全に関する分野
・金融、銀行業
・文化、情報、新聞、出版
・娯楽産業
・天然資源の採掘、生態環境保護
・教育、訓練事業
・法律により定められるその他の分野
・国際条約に定める分野
〈外資のみ対象〉
・放送、テレビ放映
・文化的作品の制作、出版、配給
・鉱物の探査および開発
・長距離通信およびインターネットの設置およびサービス
・公共郵便網の建設、郵便および宅配サービス
・河港、海湾、空港の建設および運営
・鉄道・航空輸送、海上・水上輸送、旅客輸送
・漁獲
・タバコ製造
・不動産業
・輸出入および運輸業
・病院、診療所
・国際条約において外資への市場開放を制限しているその他投資分野
条件付規制分野では、内資か外資か否かで規制対象が分けられます。しかし、政令31/2021/ND-CPによると、書面による承認書を取得しあらゆる条件を満たした後、上記にあげた条件付投資分野における各事業を行なえる旨が記載されている分野もあります。
以上が「投資禁止分野・条件付投資分野の規制」になります。次回は「出資比率による規制」を紹介いたします。
ありがとうございました。