こんにちは、ベトナム、ハノイ支部の小瀬です。
2025年5月17日、ベトナム国会は、国内の民間セクター発展のための特別なメカニズムと政策を規定する「決議 No. 198/2025/QH15」を承認いたしました。
本決議は、ベトナムで事業を行う企業、家計事業、個人事業主にとって重要な優遇措置を多く含んでおります。
以下に、本決議の主要なポイントを解説いたします。
決議 198/2025/QH15 の概要
1. 革新的スタートアップ企業に対する法人税(CIT)優遇
知的財産、新技術、新たなビジネスモデルに基づき急成長の可能性を持つ「革新的スタートアップ企業」を対象に、大幅な法人税優遇措置が導入されます。
免税・減税内容:最初の 2年間: 法人税を 100% 免除
その後の 4年間: 法人税を 50% 減税
適用開始時期:原則として、対象事業から課税所得が発生した最初の年から免税期間が開始されます。ただし、売上を計上した年から3年以内に課税所得が発生しない場合は、4年目から免税期間が開始されます。
2. 土地賃借料の減免
工業団地やハイテクパーク等に入居する特定の企業に対し、土地賃借料の減免措置が適用されます。
対象企業: 民間セクターのハイテク企業、中小企業、スタートアップ企業
減免内容: 土地再賃借契約の締結日から最初の 5年間、土地賃借料を最低30%減免
3. 研究開発(R&D)費用の損金算入枠拡大
企業のイノベーションを促進するため、研究開発(R&D)費用に関する税制優遇が強化されます。
損金算入: 実際に支出したR&D費用の 200% を、法人税の課税所得計算上の損金として算入することが認められます。
科学技術開発基金: 課税所得の最大20%を、科学技術・イノベーション・DX開発のための基金として積み立てることが可能です。
4. 中小・零細企業へのデジタル化支援
国のデジタル化推進政策の一環として、小規模事業者への支援が規定されました。
支援内容: 国は、中小企業、零細企業、家計事業、個人事業主に対し、無料のデジタルプラットフォームおよび共通会計ソフトウェアを提供します。
5. 事業ライセンス料の完全廃止
企業の管理コストを削減し、ビジネス環境を改善するため、事業ライセンス料が廃止されます。
廃止時期: 2026年1月1日より、事業ライセンス料は完全に廃止されます。
今回発表された一連の政策は、ベトナムにおける投資、特にハイテク分野やスタートアップへの投資を強力に後押しするものと考えられます。
※各優遇措置の適用には、詳細な条件や手続きが必要となる場合がございます。
何か質問等ございましたら、ご質問いただけますと幸いです。