ベトナムの改正土地法
2024年1月に可決された改正土地法について今回はご紹介します。
ベトナムでは、外国人や外資企業がベトナムで工場等を立てる場合、国から土地の使用権を得る必要があります。この土地の使用権や貸借に関して、土地法は2014年7月施行以来改訂を繰り返してきました。そして今回新たに、ベトナム国会にて改正土地法(No.31/2024/QH15)が可決され、当初は2025年1月より施行の予定でしたが、5か月前倒しとなり、2024年8月1日より施行されることとなりました。
今回の改正によって変更のあったポイントや概要を簡単にご紹介できればと思います。
〇外資系企業の定義の明確化
現行の土地法(No.45/2013/QH13)には、外資系企業の定義が明確に規定されていないのにもかかわらず、国内企業と外資系企業を区別し、外資系企業に対して一部規制がありました。しかし今回の改正土地法では、「外国投資経済組織」という用語を用いていわゆる外資企業が定義されています。
【改正土地法第3条第46項による定義】
「投資法に基づいて、土地を使用するプロジェクトを実施するために、外国投資家について定められた条件を満たし、投資手続きに従わなければならない経済機関」
「外国投資経済組織」に該当するのは、以下とされています
1.外国投資家が定款資本の50%を超えて保有する場合
2.1に該当する経済組織が定款資本の50%を超えて保有する場合
3.外国投資家及び1に該当する経済組織が合計で定款資本の50%を超えて保有する場合
よって現行法では外資系企業と認識されていたが、改正法によって1~3のいずれにも該当せず、「外国投資経済組織」と認識されないケースもございます。
〇土地使用料の一括払いと年間払い
現行土地法では、一括払いの場合には、土地使用権の譲渡・サブリース等が可能で、年間払いの場合には土地使用権に制限がありました。しかし改正土地法によって、年間払いの場合においても、条件付きで土地使用権の譲渡が可能になりました。さらには一括払いか年間払いかの選択権についても、一括払いを選択できるケースが以下の4つに限定されることになりました。
- 農業・林業・養殖業・製塩業への投資による土地使用
- 工業団地・産業クラスター・ハイテクパーク・工業団地内の労働者の宿泊施設としての土地使用
- 公共事業目的・観光やオフィス活動のために商業やサービスとしての土地使用
- 住宅法に従った賃貸住宅の建設としての土地使用
上記4つに該当しない場合は、強制的に年間払いとなります。
〇土地使用権の延長
改正土地法によって、一定の条件を満たせば、土地の使用権の期間満了前に延長することが可能となりました。
以上、改正土地法に関する3つのポイントをご紹介しました。施行は2024年8月ですので、新たにベトナム進出や投資を考えている外国人または外国企業にとっては見過ごせない法改正となっております。