タイ 有害物質法の有害物質リストを改正
  
Topic : Legal
Country : Thailand

タイ政府は2025年7月7日、化学物質規制の中核法である 有害物質法(Hazardous Substance Act B.E. 2535) に基づき、「第8版有害物質リスト」 の改正を行い、同日付で公布・施行しました。これは工業省と有害物質委員会の承認を得たもので、企業の化学物質管理とコンプライアンスに大きな影響を与える内容となっています。

■ 主な有害物質リスト改正の概要

今回の改正では、特定の化学物質に対して規制レベルが引き上げられるとともに、一部の残留性有機汚染物質(POPs)が新たに禁止対象として追加されました。これにより、これまで比較的緩やかな扱いだったシアン化合物がより厳格な許可制度の対象となるほか、環境や健康への影響が懸念される物質の扱いが強化されています。

有害物質法は、健康や環境に有害な化学物質の 製造・輸入・輸出・保有・輸送 を規制し、その取り扱いに関する義務を事業者に課すものです。改正されたリストでは、シアン化合物など一部の化学物質については、従来の「届出」中心の管理から、より高いレベルの 許可制(Type 3) が適用されます。

また、残留性有機汚染物質の中には、健康や生態系への長期的な影響が懸念されるものがあり、これらが新たに禁止物質としてリストに掲載されました。企業はこれらの物質を扱う場合、即時の対応が求められます。

■ 企業への影響について

タイの有害物質法は、有害性の高い物質を以下の4つのカテゴリーに分類しています(Type 1〜Type 4)。規制内容はカテゴリーにより異なり、特にType 3やType 4に分類される物質は、製造・輸入・輸出・保有の前に当局の許可が必要です。

今回の改正により、事業者は 自社で使用・保有・輸入する化学物質が新リストのどのカテゴリーに属するかを再確認 し、必要に応じて当局への届出・登録・許可申請手続きを速やかに行う必要があります。特にシアン化合物や新たに禁止された残留性有機汚染物質は、従来の運用とは異なる厳格な管理が求められます。

また、違反した場合には 罰則や改善命令、物質の没収・処分命令 などの行政措置が取られる可能性がありますので、注意が必要となります。

以上、今週もお読み頂きありがとうございました!!

Creater : 松木 祐里香

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