タイ入国管理局は、滞在目的をめぐる不透明な出入国を防止するため、いわゆる「ビザラン」と呼ばれる短期滞在の出入国繰り返しに対し、全国規模での規制強化を実施しています。
【規制強化の背景】
タイでは観光・短期滞在を目的としたノービザやビザ免除による滞在期間制度が比較的緩やかでしたが、近年、これを悪用して長期滞在・就労・不法活動を行う外国人が増加。特に、サイバー犯罪・資金洗浄・人身取引に関連するケースが指摘されており、政府は国際的な信頼維持・治安確保の観点から対応を強化しています。
【主な規制内容】
-
ビザなし滞在やビザ免除制度を利用し、出入国を2回以上繰り返して合理的な滞在目的を説明できない外国人については、入国を拒否する措置が取られています。
-
滞在延長申請を行った後、入国管理局が「ビザラン」の疑いがあると判断した場合、延長申請を不許可とし、既許可分の取り消し・退去命令を出すケースがあります。
-
国境地帯や高リスク地域において、再入国を禁止された外国人リストと連動して監視が強化されています。
影響と取るべき対応
-
短期滞在目的での渡航や、複数回の出入国によって滞在期間を延長する「ビザラン」を前提とした滞在戦略を持っていた個人・企業にとっては、入国拒否・滞在延長不可といったリスクが顕在化しました。
-
日本人駐在者・出張者を含む企業では、渡航時・出入国時の説明資料・目的明確化・滞在期間の証明など、コンプライアンス体制の確認が必要です。
-
ビザ・就労ビザ・長期滞在ビザを持たず、ノービザ滞在による事実上の長期滞在を想定していた場合は、より一層適切な査証(DTVビザやLTRビザ)の取得の検討が必要となります。
-
入国管理が厳格化しているため、出入国データの記録・滞在履歴の管理を社内で整備しておくことが望まれます。
以上、今週もお読み頂きありがとうございました!!