2025年12月7日、タイのシハサック外相がミャンマーの首都ネピドーを日帰りで訪問し、大きな注目を集めています。
今回の訪問では、ミャンマー軍トップであるミン・アウン・フライン総司令官をはじめ、複数の軍幹部と個別に会談が行われました。
■ 協議の中心は「国境の安定」と「越境犯罪対策」
タイ外務省の発表によると、会談では主に以下のテーマが取り上げられたとのことです。
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国境地域の安定確保
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越境経済の強化
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大気汚染への対応
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治安および経済分野での協力強化
特に注目されたのが、近年急増している メーソート〜ミャワディ地域の特殊詐欺問題。
いわゆる“KKパーク”を含む詐欺組織の摘発や対策について、両国がより踏み込んだ連携を進める方針を示しました。
■ ミャンマー側は「選挙支援」を議題に追加
興味深いのは、ミャンマー側の発表内容がタイ外務省の説明とは少し異なる点です。
ミャンマー側は、国境貿易や環境保全に加え、
「自由で公正な選挙の実施に向けてタイが支援すること」
が議題に含まれていたとしています。
■ タイ外相、選挙への姿勢を“微調整”?
シハサック外相は11月下旬、ミャンマー軍政が準備している選挙について
「自由かつ信頼を得られる選挙にはならない」
と厳しい見方を示していました。
しかし今回の会談では、
「選挙が政治的転換の一部となることを期待する」
と発言し、軍政主導のプロセスを一定程度容認するニュアンスにも受け取れる姿勢を示しました。
外交的バランスを意識した発言とも読めますが、タイがミャンマー情勢にどう関与していくのか、今後の動きが注目されます。