中央銀行CBMが燃料部門に2,700万ドル注入
  
Topic : Economic
Country : Myanmar

ミャンマー中央銀行(CBM:Central Bank of Myanmar)は、2025年10月14日付で燃料油セクターに2,700万米ドルを注入したと発表しました。
公式紙 Global New Light of Myanmar によると、目的は「燃料油市場の安定化と流通円滑化の支援」とされています。
 


CBMの発表内容:燃料輸入業者支援と為替安定の両面

 

現地報道によれば、CBMはこの10月、複数回にわたって燃料関連業者向けのドル供給を実施しています。

日付 内容 金額 出典
10月2日  燃料輸入企業向けにドル販売を計画  約2,500万ドル  Eleven Myanmar
10月8日 燃料部門に追加ドル供給 約3,000万ドル Eleven Myanmar
10月14日 新たに燃料油セクターへドル注入 約2,700万ドル Global New Light of Myanmar

 

また、CBMは食用油輸入業者にも約190万ドルを販売しており、
「生活必需品の価格上昇を抑制する」という意図が読み取れます。

 


燃料価格と為替市場への影響(短期的効果)

 

Global New Light of Myanmar の報道によると、
CBMのドル売却発表後、一部で燃料価格が一時的に下落したとされています。
ただし、実際の市場レートや価格推移に関する統計データは公開されておらず、
「持続的に安定した」と断定できる根拠は現時点では不十分です。

また、CBMの外貨準備高や資金余力についても公的データがほとんど出ていないため、
このドル供給政策が「一時的な安定策」なのか、「継続可能な戦略」なのかは不明です。

現地の金融関係者の間では、
「為替下落を食い止める一時的な介入」と見る声が強い一方で、
「燃料・食料分野を優先的に支える政策転換」との見方もあり、評価が割れています。

 


政策の意義とリスク(現地経済の文脈から)

 

期待できる効果

  • 燃料価格上昇の一時的抑制

  • 為替市場の混乱回避(心理的安定)

  • 物流・輸送コストの急騰を防ぐ緩衝材的効果

指摘されている懸念

  • 持続性への疑問:外貨準備高が非公開のため、どこまで続けられるか不透明。

  • 選別の不透明さ:どの業者・銀行を通じてドルが供給されるのか詳細が未公表。

  • 他セクターへの影響:燃料分野への資金集中で、他の輸入品(医薬品・部品など)がドル不足に陥るリスク。

 

政府・中央銀行の「短期ショック緩和」策としては理解できるが、
根本的な為替・供給構造を立て直す政策が伴わないと、
結局は「焼け石に水」になる可能性がある。

 


今後の注目ポイント

 

項目 注目理由
為替レート(MMK/USD)の推移  ドル供給の効果がどの程度継続するかを測る指標 
燃料輸入量と小売価格 政府の流通支援が実需に届いているか
他の生活必需品への波及 食料・電力・交通コストへの連鎖を観察
CBMの次回発表 11月以降も同様のドル注入を継続するかどうか
Creater : 晃 渡辺