外貨不足が深刻と言われるミャンマーでは、外貨を送金して決済する必要のある輸入取引についても、厳しい制限がかけられています。
2023年に出された複数の通達をまとめると、輸入取引には以下の手続きが必要です。
1.輸入ライセンスを申請・取得する(原則取得後に輸入貨物を発注)
2.輸入貨物の到着を確認する(Import Declaration)
3.外貨を購入する(Online Trading Programmeにて)
4.送金手配をする(Import Declarationから6か月以内)
1.の輸入ライセンスは、商業省に’おける輸出入業者ライセンス(Importer-Exporter Licence)の保持が必要で、「TradeNet 2.0」というプラットフォーム(ウェブサイト)で申請を行うものとなっており、申請しても確実に認可が下りるとは限りません。特に、国内で製造が可能な作物や製品の輸入に関しては、外国から輸入する必要のないものと判断され、認可されないことが多くなっています。輸入貨物を依頼した後にこの輸入ライセンスを申請し、取得ができないがために貨物の引き取りができなくなるケースが続出したため、現在では原則として輸入ライセンス取得後に輸入貨物を発注することとされています。
2.の輸入貨物の確認は、外貨送金のための必要条件とされており、Import Declaration完了前に輸入の対価を送金することはできません。これにより、前払による仕入が必要な場合は、国外のグループ会社などによる建て替えなどが必要となっています。
3.の外貨購入は、オンライン取引プログラムという中央銀行のプラットフォームでのみ購入が可能となっています。2023年12月の通達により、中央銀行の公定レートではなく、市場レートに近いレートでの外貨販売が行われることとなり、輸出の対価は公定レートでのMMK強制兌換に遭う一方で、輸入の場合でもより多くのMMKが必要になる点、注意が必要です。
4.の送金手配は、銀行に依頼して行います。銀行は輸入者のImport Declarationを確認したうえで、そこから6か月以内の送金依頼だけを受付、外国送金を実施します。このため、上記3.の外貨購入に時間がかかる場合には、この6か月に間に合わせられず、外国為替監督委員会FESCに国外外貨送金の認可を申請する必要が発生します。
特に、輸入ライセンスが取得できないで輸入貨物が到着してしまった場合、およびImport Declaration後6か月以内に国外送金ができなかった場合は、極めて大きな損失が生じる可能性があるため、輸入貨物発注のタイミング、および外貨購入のタイミングについては注意が必要です。