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本日は、「バングラデシュの自動車保険」について解説します。
1. 概要
バングラデシュでは、日本と比べて自動車保険の加入が十分に普及しているとは言い難いです。
旧法である Motor Vehicles Ordinance, 1983(1983年自動車条例)では、第三者リスクに対する保険加入を前提とする規定が置かれていました。
一方、現行の Road Transport Act, 2018(2018年道路交通法)では、保険は任意として扱われます。旧法にあった罰則規定は置かれていません。
罰則規定が置かれなくなった要因として、保険加入の有無の確認や法的手続き、保険金の受け取りなどで、現状のシステムでは対応しきれないという構造上の問題が挙げられます。法律上で義務化していても実務上では活用されていないという問題が浮き彫りになりました。
2. 自動車保険の補償範囲
そのような保険の現状ではありますが、バングラデシュで販売されている自動車保険は、主に第三者保険と包括保険の2種類があります。
① 第三者保険
第三者(対人・対物)への損害賠償をカバーする保険です。
・ 人身損害: 他人がケガをした場合の治療費、入院費、慰謝料など。
例:事故で相手の歩行者が骨折した場合の医療費・損害賠償
・ 財物損害:他人の財産に損害を与えた場合の修理費や賠償費。
例:事故で他人の車両や建物を損壊した場合の修理費等
② 包括保険
第三者補償に加えて、自車両の損害等も補償対象に含める総合的な自動車保険です。一般的には、以下のリスクが補償対象となることが多いですが、実際の対象範囲・免責は約款・特約により異なります。
・ 交通事故によるボディ損害
・ 火災、爆発、落雷
・ 盗難、強盗、侵入破壊
・ 暴動・ストライキ・悪意ある破壊行為
・ 洪水、サイクロン、嵐、地震などの自然災害
・ 車両輸送中の損害(ロード、レール、内路など)
3. 保険料の決まり方
バングラデシュの自動車保険料は、保険の種類や補償範囲に応じて決定され、Motor Tariff(タリフ)に基づき料率・条件が定められる旨を保険会社が明記している例があります。
① 第三者保険
一般に、車両の種類や座席数、使用目的、補償限度額、保険期間などにより算定されます。加えて、ドライバーの年齢や運転歴、過去の事故歴、使用エリア(都市部/地方)等の条件によって調整されるため、最終的な保険料は保険会社が個別に査定した後に提示されます。なお、第三者(対人・対物)への賠償に特化しているため、保険料は比較的安価です。
② 包括保険
保険料の計算は第三者保険より複雑で、まず車両の時価(年式・状態等)をベースとして、補償範囲や特約の有無によって保険料が変動します。また無事故割引(No Claim Bonus)が適用される場合があり、1年無事故で約20%、2年無事故で約25%の割引を掲げる例があります。なお、様々なリスクに対応する設計のため、保険料は高めです。
4. 補償額
① 第三者保険
補償額(限度額)は、対人・対物の賠償責任に対して設定され、限度額の設定に応じて保険料が算定されます。補償額は車両の種類や座席数、使用目的、保険会社の規定に応じて異なり、必要に応じて増額特約を付けることもできます。
② 包括保険
第三者への賠償補償に加えて自車両の損害(火災、盗難、自然災害など)を含むため、補償額は車両時価、補償範囲、免責、特約等の組合せで決まります。実務上は、時価評価や修理費相場等も踏まえて調整されます。
5.その他注意事項(レンタカー利用時)
バングラデシュでの移動手段としてレンタカーを利用される場合、車両側の保険(第三者補償や車両損害等)が付いていることはありますが、搭乗者の傷害補償や借主側の責任まで常に十分にカバーされるとは限りません。
そのため、契約書・約款で以下を必ず確認することを推奨します。
・ 保険が付保されているか(付保されている場合、保険会社・証券番号等)
・ 補償の対象範囲(第三者/車両/搭乗者等)
・ 免責額(借主負担)・例外条件(飲酒、速度違反、無免許等)
・ 事故時の連絡手順(警察レポート要否、期限、指定修理工場 等)
今回は「バングラデシュの自動車保険」について解説しました。
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※本記事は、バングラデシュに関する一般的な情報提供のみを目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。