概要
2026年2月1日、ニルマラ・シタラマン財務相は2026–27年度連邦予算を発表しました。これは「ユヴァ・シャクティ(若者の力)」を活かした成長と雇用を強調し、インフラ投資、製造業強化、人的資本育成に重点を置きます。
税制面では、新所得税法2025の制定(2026年4月施行予定)に加え、IGST法改正による仲介サービスの供給場所(Place of Supply)判定ルールの変更が大きな目玉となっています。これにより、これまで日系企業が長年直面してきたコミッション取引等への18%の課税問題が解消される道が開かれました。また、ITサービスやデータセンター事業者向けの安全港(Safe Harbour)制度の拡充や2047年までの長期税控除など、外資系企業への強力な誘致策が盛り込まれています。
ポイント
1. 新所得税法2025の施行と申告プロセスの変更
・1961年法の全面改正として2026年4月に施行予定
・申告期限(ITR)は移転価格(TP)対象者が11月30日、監査対象法人は10月31日に設定
・修正申告の窓口を9ヶ月から12ヶ月へ延長し、再調査通知後でも一定条件で修正が可能に
・海外旅行パッケージ等のTCS率を2%に引き下げ、人材派遣を請負向けTDSに統合
2. 移転価格(TP)制度の抜本的拡充と迅速化
・IT関連サービスをITサービスに一本化し、セーフハーバーのマージンを15.5%に設定
・インドからデータセンターサービスを提供する関連企業に対し、コストの15%のセーフハーバーを適用する。
・会社の裁量により、5年間のセーフハーバー継続適用を可能とする。
・ITサービスの適用対象上限を300億ルピーから2,000億ルピーへ大幅に拡大
・ユニラテラルAPA(事前価格合意)を2年以内に完結させるファストトラックを導入
・TPOオーダー期限をAO期限の1ヶ月前とする月単位の枠組みを導入(2007年まで遡及適用)
3. IT・データセンター優遇と訴訟削減
・外国企業がインドの指定データセンター from インドから得る所得を2047年まで免税とする措置を導入
・不服申し立て(控訴)時の強制予備納付(Pre-deposit)を20%から10%に削減
・Form 3CEB(会計士報告書)の未提出罰金を遅延期間に応じた段階的な手数料制へ変更
・移転価格に関わるドラフトオーダー後のプロセスは、専用の期限(144C)を優先することを明文化
4. GST:仲介サービス(Intermediary Services)の供給場所変更
・IGST法第13条(8)(b)項を削除し、判定基準を受領者の所在地ベースへ移行
・日本親会社等への仲介サービスが輸出と認められ、18%のGST負担(課税・還付不可)が解消
・海外業者からインド顧客へのサービスは輸入となり、リバースチャージ(RCM)課税の対象に。なお本改正は遡及適用されないため、2017年7月以降の過去期間の扱いには引き続き注意が必要
5. 法人税率、会計、関税
・AT(最低代替税)を14%へ引き下げ、新税制への移行を促進
・証券取引税(STT)は先物(0.05%)、オプション(0.15%)へそれぞれ引き上げ ・ICDSをIndAS(インド会計基準)に統合し、2027–28年度から税務上の別個の会計処理を廃止予定
・リチウムイオン電池や救命薬の関税免除、および保税倉庫間の移動における事前許可を不要化
まとめ
今回の連邦予算は、若年人口とデジタル化を成長ドライバーとして、外資系企業に極めて有利な制度を導入する方向性を示しました。
特にGSTにおける仲介サービスの課税ルール変更は、これまで親会社等へのコミッション請求で18%の税負担を強いられてきた日系企業にとって、直接的なコスト削減に直結する大きな前進です。これに加えてITサービス安全港の拡充やデータセンター税控除は、インドを拠点としたグローバル展開を検討する企業にとって強力な追い風となるでしょう。
一方で、TPOオーダー期限の遡及的な明確化やICDS/IndASの統合など、実務・会計レベルでの迅速な対応も求められます。今後は新所得税法2025の細則や、労働コードの施行状況を注視し、コンプライアンス体制をアップデートしていく準備が不可欠です。
本日は以上になります。
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