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本日は、「従業員の給与・源泉に係る年次コンプライアンス:Schedule F / G」についてです。
バングラデシュでは、雇用主は従業員の給与・源泉に関する情報を年に1度取りまとめて、税務当局(DCT)へ提出する必要があります。これが、スケジュールFとスケジュールGです。本稿では、その内容と注意点を簡潔に解説します。
【スケジュールF(Schedule F)】
(目的)
当該年度の給与課税(Salary Taxation)/源泉徴収(Withholding on Salary)の年次集計を報告する様式です(旧Section 108の後継運用)。
(必要情報)
・従業員情報:氏名/TIN(Taxpayer Identification Number)/役職
・金額情報:年間支給額(Gross Salary)/課税対象額(Taxable Income)
・給付・手当:Perquisites/Exemptions(住宅・通勤・医療・現物給付等の評価を含む)
・源泉・納付:月次源泉合計(Tax Deducted at Source)、政府勘定への納付状況(※Challan No./Date/Bank/Amountは別紙台帳で管理・突合が安全)
・特記事項:TIN未保有者・外国人従業員への支給情報/現金立替の払戻し 等
(提出期限)
固定の法定日が明文化されているわけではなく、毎年の通達や所轄案内に従います。実務上は、個人確定申告(原則11/30)後に四半期WHT申告(翌月25日)と整合を取りつつ、年末〜年明けにスケジュール F/Gを取りまとめ(確定)します。
【スケジュールG】
(目的)
従業員の確定申告(Income Tax Return)を提出した事実=PSR(Proof of Submission of Return)を年次で取りまとめて報告する様式です(旧Section 108Aの後継運用)。
(必要情報)
・TIN
・申告提出日(Date of filing)
・受付番号(Acknowledgement/Serial No.)
※e-ReturnポータルのAcknowledgement/Certificateで確認可
(提出期限)
スケジュールF同様に毎年の通達・所轄指示ベース。旧108A時代は4/30が目安でしたが、現行は個人確定申告(11/30)後、年末〜年明けにスケジュールFと併せて締める運用が多いです。1月または4月の四半期WHT申告のタイミングに合わせる例も見られます。
【注意点】
・雇用主は、従業員から個人所得税の確定申告書を提出した証拠(受付番号等)を収集する必要があります。
・四半期WHT申告(会社がいくら源泉して納付したか)とスケジュールF、スケジュールGで、金額などの不一致があると、税務調査等で指摘を受けるリスクあり。
・未収集や不備がある場合は、費用不算入等の税務リスクに直結します。
・Schedule F/Gは“所定様式”であり、提出方法・時期は個別通達(SRO)や個別案内で毎年確認してください。
【参考(制度背景)】
2023年に所得税法(Income Tax Act, 2023)が施行され、従来の所得税条例1984(Income-tax Ordinance, 1984)から大幅に置き換えが行われました。これに伴い、源泉徴収(Withholding Tax)や給与税務(Payroll Tax)に関する届出様式・運用が整理され、「旧セクション108/108A」の年次提出は、新しい「スケジュールF / スケジュールG」へと実質的に置き換わりました。
【まとめ】
雇用主は年次で従業員の給与・源泉情報を申告します。仮に、従業員が申告書を提出していなかったり、所得税を納めていなかったりすると、会社にリスクが発生しますので、ぜひ一度、自社の対応状況をご確認いただければと思います。
以上、ご不明点等ございましたら、お気軽にご連絡ください。
今回は『従業員の給与・源泉に係る年次コンプライアンス:Schedule F / G』について解説しました。
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※本記事は、バングラデシュに関する一般的な情報提供のみを目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。