2022年1月にUSD1 = MMK1,778⇒MMK1,850⇒MMK2,100と、変動こそすれ固定の為替レートの強制を始めて以来、ミャンマー中央銀行CBMの掲げる公式レートと「闇レート」や「実勢レート」とも呼ばれる「市場レート」の乖離が進んで来ています。
2022年8月以降は、USD1 = MMK2,100のレートが2年以上固定されており、しばらくは外貨で収入を得ることになる船乗りなどに対して特別なレートを提示する以外、原則として公式レートでの兌換しか許されないとする見解が支配的でした。
その後、当然ながら公式レートでUSDをMMKへ兌換しようとする動きがなくなり、銀行から外貨がなくなると、外貨を恒常的に入手するNGOや企業に対し、一部銀行から非公式な形で打診を受けて、中間レートでの兌換が提案されるようになりました。
2023年12月以降、Trade Rateと呼ばれる中間レートを銀行取引で使用することができる旨の通達を発し、中間レートでの取引を公式に容認しましたが、そのレートの情報は飽くまでも参考情報として、毎日更新されPDFファイルでアップロードされる為替レート情報ページの一つに記載されているのみでした。
今回、2024年10月以降、中央銀行の公式サイトからアクセスする日次更新の各通貨為替レートにつき、上記Trade Rateが公式レートと合わせて表示されるようになりました。
USDだけでなく、元々公式レートとして表示していたすべての通貨に対して、Trade Rateを記載しており、固定されたUSDから逆算して各通貨のレートを割り出す手間を省くことができるよう、一斉に表示を始めたものと考えられます。
なし崩し的に公式レートを使用することがなくなってきている中、それでも外貨獲得のために公式レートが維持されており、そのために一般の市場原理に従うべきだという意見と、経済活動を犠牲にしてでも外貨獲得を優先すべきだという意見に、政策が分かれているように思われる対応となっています。
外貨預金からMMKへの強制兌換も未だ可能性が高い一方で、公式レートがTrade Rateまで切り下げられる可能性も、別途考慮する必要がありそうです(その場合、多くの企業では為替差損益を認識することになり、場合の依っては納税も強いられる点、注意が必要です。)