ミャンマー投資企業管理局(DICA)が公表した外国直接投資(FDI)統計を見ると、
2025年度(2025年4月~2026年3月)上半期(4~9月)の投資認可額は、前年同期比11.5%増の2億4,867万ドルとなりました(ティラワ経済特区を除く)。
9月は大型投資で一気に回復
特に注目されたのが9月の投資認可額です。
9月単月で 1億1,928万ドル と、月別で1億ドルを超えたのは 2024年12月以来となりました。
この増加をけん引したのは、シンガポールによる運輸・通信分野への追加投資で、全体の約7割を占めています。
9月に投資認可を受けた国・地域は以下の6カ国・地域でした。
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シンガポール:8,144万ドル(追加投資)
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中国:1,886万ドル(新規5件含む)
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香港:1,305万ドル(追加投資)
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韓国:264万ドル(新規1件)
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インド:258万ドル(新規1件)
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サモア:70万ドル(新規1件)
業種別では製造業と運輸・通信が中心
2025年度第2四半期(7~9月)の業種別構成を見ると、
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製造業:52.8%
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運輸・通信:32.7%
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オイル・ガス:8.4%
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電力:4.0%
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サービス:1.0%
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畜産・水産:1.0%
となり、製造業が引き続き中心である一方、9月は運輸・通信分野が大きく伸びた点が特徴的でした。
10月・11月は一転して低水準
一方で、2025年4~11月累計で見ると、投資認可額は 前年同期比15.2%増の2億7,158万ドルと
増加を維持しているものの、10月・11月は低水準にとどまりました。
9月の反動もあり、足元では投資の勢いがやや鈍化している印象です。
投資国は中国・香港が中心に
11月の投資認可内訳は以下のとおりです。
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中国:963万ドル(新規5件)
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香港:511万ドル(新規4件)
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台湾:150万ドル(追加投資)
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シンガポール:115万ドル(新規1件)
10月も中国・香港・シンガポールの3カ国・地域のみで、10月・11月に認可された投資はいずれも製造業でした。
製造業が引き続き主役
2025年度4~11月累計を業種別に見ると、
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製造業:56.8%
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運輸・通信:30.0%
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オイル・ガス:7.7%
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電力:3.6%
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サービス:1.0%
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畜産・水産:0.9%
と、製造業が全体の過半を占めています。
この結果は、ミャンマーが衣料品を中心とする消費財の生産拠点として、引き続き国際的に認知されていることを示していると言えるでしょう。
まとめ
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2025年度上半期はFDIが増加し、9月に大型投資が集中
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10~11月は低調だが、構造的には製造業投資が中心
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短期的な変動はあるものの、「製造拠点としてのミャンマー」という位置づけは大きく変わっていない
今後は、9月のような大型案件が継続的に出てくるか、それとも製造業中心の堅実な投資が続くのかが注目されます。