ミャンマー国内で中央銀行の提示する「公式レート(Official Exchange Rate、USD1.00=MMK2,100)」、および「実勢レート/市場レート/闇レート」と呼ばれる市中の両替商にて兌換する際のレート(直近ではUSD1.00=MMK3,200程度)の二重レート状態が続いていました。
一方、国内で政府機関が外貨を確保するため、USD⇒MMKの兌換を促す動きとして、銀行各行が市場レートで兌換を認める動きも出てきていました。
2023年6月21日、中央銀行の通達により、Weighted Averate Rate (WAR)というレートを使用することができるとされ、毎日更新されるこちらのレート(直近ではUSD1.00=MMK2,920程度)により、外貨のMMK転などが実行できるようになりました。
(https://www.cbm.gov.mm/content/8073(中銀ホームページhttps://www.cbm.gov.mm/下の「Latest News」中の記事)
リアルタイムで上下する「市場レート/実勢レート/闇レート」と呼ばれるもの(現在USD1.00=MMK3,200程度)に比べ、やや銀行公式レート(現在USD1.00=MMK2,100)に寄ったレートとなっており、強制的に行われる兌換(輸出代金の65%相当や、ミャンマー企業への送金に伴うもの)には公式レート、任意で実施する兌換には中央銀行に通知したうえでWAレートを使用させ、市場レート/実勢レート/闇レートでの兌換は違法として取り締まる方向で動いていると見られます(ただし、市中でドル現金を入手するためにはこちらのレートでのMMK支払いが必要)。
こちらは、外貨の流入自体を妨げるものではありませんが、従業員の給与をドル建てで設定されているような場合、今後はチャットに換算する際にはこちらのWARレートが適用されるべきだとして、公定レートに対する反発が惹起される可能性が出てきました。
一方ではMMKの現金化自体はさらに自由化されてきて来ていますが(銀行での引き出し可能金額が増加中)、従業員の方も、公定レートで現金で受け取るよりは、WAレートで銀行送金を受ける方が望ましい可能性もあり、慎重な対応が必要になると思われます。