2025年12月に入り、タイとカンボジアの国境地帯で再び軍事衝突が発生しました。背景にあるのは、長年にわたる領有権をめぐる争いであり、両国の武力衝突は今後も予断を許さない状況にあります。
【 最近の経緯】
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12月7日〜8日にかけて、タイ東北部(シーサケット県付近)とカンボジア西部の国境付近で、双方の軍による銃撃戦が報告されました。タイ軍は小火器や迫撃砲を使用したと主張。タイ側の発表によると、2名のタイ兵が負傷しました。
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同日、国境に近い数州(Buriram, Surin, Si Sa Ket, Ubon Ratchathani など)では住民に避難命令が出され、数千〜数万人規模の避難が行われています。
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一方で両国の主張は真っ向から対立。タイ軍はカンボジア軍が先に発砲したとしていますが、カンボジア側は「タイ側の一方的攻撃だった」と反論。カンボジア国防省は、報復は行っておらず、国際社会に対して公平な調査を求める声明を出しています。
【背景 — 最近の停戦と和平合意】
両国は2025年10月26日、マレーシアのクアラルンプールで、和平合意(Kuala Lumpur Peace Accord)に調印していました。重火器の撤収、地雷除去、共同監視体制の設置などが盛り込まれ、和平実現への期待が高まっていました。
しかし、11月にカンボジア側による地雷使用疑惑が浮上。タイ軍兵士が地雷で負傷した事件をきっかけに、和平の枠組みは崩壊。一部地域で戦闘が再開し、今回の衝突に至ったと報じられています。
【現地在住者・渡航者に求められる対応と注意】
このような状況を受け、複数の国の在外公館や国際機関が、タイ–カンボジア国境地域への 不要不急の渡航の自粛 を強く呼びかけています。とりわけ、国境から半径数十キロ圏内の地域は 治安が極めて不安定 であり、地雷や急な爆発、軍の移動に巻き込まれるリスクもあるとしています。
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