前首相ペートンタン氏は、憲法裁判所から倫理規定違反を理由に失職し、退任を命じられました
これを受けて、下院では 5 日に首相指名選挙が行われ、「タイの誇り党(Pride Party)」の党首、アヌティン・チャーンウィラクン氏が与党側候補を破って勝利しました。
その後、ワチラロンコン国王の承認を経て、9 月 7 日に正式に首相に就任しました。

参照:https://www.bbc.com/news/articles/cr4q051zxgyo
アヌティン新首相の公約と政策スタンス
アヌティン氏は就任演説で、以下のような重点政策・立場を示しています。
| 項目 |
内容 |
| 任期限定 |
約束として、4か月以内に下院を解散すると宣言。議会の信任や政治基盤の再確認を図る狙いと見られています。 |
| 生活費軽減 |
エネルギー価格や交通費を引き下げ、低所得層を中心に支援を行う方針。 |
| 外交関係修復 |
特にカンボジアとの緊張関係の平和的な解消を掲げています。 |
| 憲法改正の手続き |
最大野党「国民党」などから求められている憲法改正について、手続きを進める意向を示しています。 |
政治体制・連立の状況
・「タイの誇り党」は単独で過半数を持っておらず、保守派や親軍勢力など他党と連立を組む見通しです。
・また、最大野党「国民党」の支持を得た代わりに、下院解散を早期に行うと約束しており、不安定ながらも妥協を図る形の政権運営となっています。
今後の見通し
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下院解散と次期総選挙:アヌティン政権が4か月以内の解散を本当に実施すれば、次期総選挙が近づく。選挙結果次第で政権の基盤が再編される可能性があります。
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政策実行のスピード感:物価・エネルギー・公共交通のコスト改善などがどれだけ迅速に感じられるかが国民からの支持を保つ鍵となっています。
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外交・安全保障のバランス:軍関係や近隣国との関係など、保守派・軍出身勢力との関係にも配慮を要する。
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憲法改正の動き:憲法改正を望む勢力と、現状維持を主張する勢力との論争が生じる。改正手続きや内容で国論が分かれる可能性。
アヌティン氏の就任は、タイにとって新たな転換点ともなり、国民の期待と政界の現実、その両方がぶつかる中で、彼の政権運営に注目が集まっています。
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