ベトナムの親子ローン
日系企業の多くが、ベトナムで事業を行なう際の資金調達手段として親会社からの借入である親子ローンを選択します。親子ローンの中でも、短期借入と中長期借入があります。今回はそれぞれの特徴、また短期借入から中長期借入に変更する際の留意点をご紹介いたします。
まず親会社からの借入は、返済義務はもちろん発生しますが、ベトナムの銀行から借入を行うよりも金利を低く設定できる点などのメリットにより親子ローンを設定する企業様が多いです。
【それぞれの特徴】
短期ローン
中長期ローン
①借入期間
1年以内
1年以上
②利用口座
資本金口座
③中央銀行の登録
×
〇
④IRC上の借入枠
⑤報告業務
月次
⑥使用用途
運転資金のみ
設備投資資金も可
①借入期間:短期ローンは1年以内、それを超える場合は中長期ローンへの変更が必要
②利用口座:どちらもローンの振込と返済は資本金口座から行う
③中央銀行の登録:中長期ローンのみ登録が必要で、ローン契約締結後の借入金送付前の登録が必要
④IRC上の借入枠:中長期ローンのみ、IRC上に記載された「総投資額」―「資本金」=「借入枠」に注意し、この「借入枠」の範囲内で借入が可能
⑤業務報告:現在はどちらも中央銀行に月次での借り入れ状況の報告が必要(オンライン)
⑥使用用途:どちらも明確には規定されていないが、短期ローンは運転資金のみで中長期ローンは設備投資資金への使用も可能である
【短期ローンから中長期ローン変更に関して】
親会社より短期ローンで借入を行っていたが、中長期ローンに変更したい場合いくつかの点に注意する必要があります。まず中長期ローン変更にはかなりの工数を要します。必要書類の作成や申請に最低でも3か月といわれ、状況次第で4・5か月はかかります。実務上半年以上要したケースもございます。
〈以下、中長期ローン変更フロー〉
1. オンラインアカウントの作成(2~3週間)
2. IRC借入枠の修正(1~2か月)※1
3. 中央銀行への登録(2~3か月)
※1:IRC上の借入枠内で借入を行う場合、このステップは不要
〈留意点〉
以上、短期ローンと中長期ローンの特徴と留意点をご紹介しましたが、ベトナム進出に伴う資金調達についてご相談や悩み事がある際は是非お問い合わせください!