新型コロナウイルスの影響により感染拡大が広まるなか、現在、外国人のベトナム入国に制限がかけられている状況でございます。ベトナム政府は2020年12月30日に、ベトナムで就労する外国人労働者を対象とした労働許可証に関する政令152/2020/ND-CPを公布しました。本政令は、2021年2月15日より施行されています。これにより、外国人労働者の労働許可証申請は厳格化され、日系企業を含む外国企業並びに外国人労働者に混乱の状況が広がっています。
本記事では、政令152/2020/ND-CPの改正点とポイントについて下記の通りご説明いたします。
1.取得対象者と条件
2.専門家証明書の廃止
3.取得免除者について
4.労働許可証の延長について
5.その他注記事項について
労働許可証の取得対象者と条件については、下記のように定められています(第3条)。
1年以上の専門教育を受けかつ技術分野で3年以上の実務経験を有すること、
もしくは5年以上の実務経験を証明できること
※1:専門知識と経験の一貫性が見られています。この要件に適さないと判断された実例として、工学部、文学部などの卒業で営業マネジャー職の専門家では申請が拒否されるといったことが実務上生じています。
※2:職種として、工場等での生産技術、IT 開発エンジニア、建築設計、機械設計といった職種がこれにあたるとベトナム(ハノイ)政府局で考えられています。一方、ホーチミンでは、セールスや事務スタッフもこれに含まれる事もあります。
実務上、政令で規定される範囲と労働局窓口で状況が異なる場合がございますので、注意が必要です。申請のケースごとに労働局へ申請が可能かどうかを確認していただくことが確実であるかと存じます。
外国機関、組織、企業が専門家であると
認定した証明書を有する場合
政令11号では、専門家として、大学卒業証明書を提出せずに労働許可証を取得することが可能でした。つまり、専門家証明書の発行をすることにより、取得が認められていました。
しかしながら、新政令では、専門家証明書の発行に関する内容が削除となっていることから専門家として申請することが出来なくなりました。
また、大学を卒業している場合、これまで卒業証明書の提出が認められていましたが、本政令が発行されて以降、大学卒業証明書ではなく、大学証書の原本のコピーを提出するよう労働局は求めています。
本政令では、労働許可証の取得免除対象者について明記されています(第7条)。
下記に該当する場合、労働許可証の取得は必要ございません。ただし、書面による取得免除証明の手続きが必要となりますのでご注意ください。
労働許可証の有効期限は最長2年間で、1回まで更新することが出来ます(第19条)。2年間の更新後、4年ごとに新規取得することになります。ホーチミン市・ビンズン省・ロンアン省など地域によって、今年度の更新を認めず、新規取得のみ受け付けている場合がございます。延長手続きではなく、再度労働許可証を取得し直すという手続きが必要であるため、今年度更新する予定の方は各地域の労働局へ確認することが必要です。
1)2021年6月時点において、ホーチミン市内の労働許可証取得手続きはベトナム在住者のみが行うことが出来ます。申請時に、隔離施設での陰性証明書が必要となるためです。日本から労働者許可証の申請手続きを行うことは出来ませんので、ご留意ください。
一方、ハノイ市内ではベトナム在住者でなくても、取得申請は認められています。
※申請時期、担当官によって見解が異なることがありますので、申請を検討される際に当社もしくは依頼しているエージェントへご確認ください。
2)職務経歴書のフォーマットが変更されました。変更点としましては、職務経歴書に職務内容の記載欄が追加された点です。本政令が施行された2月15日以降、労働許可証の申請を進めている方は新しいフォーマットに沿って提出することが必要です。
新政令について重要となるポイントについてまとめました。
コロナウイルスの現状と本政令の影響により、これまで以上に取得条件が厳格化していること、また、法務面と実務面で異なる場合があることをご認識いただくことが必要かと思います。
その他ベトナムに関する情報へのご質問等がございましたらお気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。