ベトナムでは、汚職防止法(Law No.55/2005/QH11 on Anti-corruption)が制定されており、公務員や国営企業の関係者に対する賄賂行為が厳しく取り締まられています。この法律は、公務員やベトナム人民軍、人民警察など、権力を持つ立場の人々が対象です。
法律では、2,000,000 VND(約1万2千円)以上の価値を持つ贈与が賄賂とみなされます。しかし、それ以下の金額であっても、複数回にわたる贈与や詐欺的な手法で利益を得た場合には、賄賂として扱われる可能性があります。
法律が存在するにもかかわらず、「袖浦文化」と呼ばれる慣習的な贈与が依然として残っています。業務を円滑に進めるために手数料を上乗せして支払うケースも見受けられます。企業は、このような文化的背景を理解しつつ、法令遵守を徹底する必要があります。
新しい汚職防止法(法律36/2018/QH14号)は、民間企業にも汚職防止に向けた義務を課しています。これにより、企業はコンプライアンス体制を強化し、不正行為を未然に防ぐための対策を講じる必要があります。
公務員への贈答品については、金額が2,000,000 VND未満であっても、その目的やタイミングによっては贈賄罪に問われる可能性があります。特に業務上の利益と関連付けられるような贈与は避けるべきです。民間企業同士の場合でも、同様の注意が必要です。
・コンプライアンス教育: 社員向けに定期的なコンプライアンス教育を実施し、法律や規制について最新情報を共有します。
・内部監査体制の強化: 内部監査体制を整備し、不正行為の早期発見と是正措置を講じます。
・透明性の確保: 取引先との契約内容や金銭授受について透明性を確保し、不正行為への関与を防ぎます。
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今回は「ベトナムの賄賂規制と実務上の課題」について解説しました。
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※本記事は、ベトナムに関する一般的な情報提供のみを目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。