こんにちは、ベトナム、ハノイ支部の小瀬です。
ベトナム国の顕著な経済発展に伴いまして、日本の優れた技術力を活用した建設プロジェクトへの参画機会は、今後一層増大するものと期待されております。しかしながら、外国企業がベトナム国内において現地法人や支店といった恒久的な事業体を設置せずに、プロジェクトベースで事業活動を展開される際には、ベトナム国特有の法制度に対する深いご理解が不可欠でございます。特に、駐在員事務所(RO)の機能的制約と、プロジェクト遂行に必須となる「プロジェクト管理事務所(PMO)」の役割分担につきましては、正確な知識が求められるところでございます。
本稿におきましては、ベトナムでの建設プロジェクトをご検討中の日本企業の皆様に対し、この重要な法的・実務的側面について解説申し上げます。
1. 駐在員事務所(RO)の機能的限界と法的役割
まず、初期拠点として検討されることが多い駐在員事務所(RO)でございますが、その活動範囲には明確な法的制約が付されております。
ROはあくまで連絡調整及び情報収集等の窓口機能に留まり、プロジェクトを直接的に運営・管理する機能は有しておりません。
2. 「プロジェクト管理事務所(PMO)」設立の必要性とその機能
それでは、外国契約者たる日本の親会社等がベトナム国内にて建設プロジェクトを具体的に推進するためには、いかなる措置を講ずるべきかと申しますと、その方策が「プロジェクト管理事務所(PMO)」の設立でございます。
すなわち、ROが情報収集や連絡といった支援的側面を担うのに対し、PMOはプロジェクトの実行という実務的側面を担う、法的に区別された組織体と位置付けられます。
3. PMO設立の法的義務(政令175/2024/NĐ-CPに基づく)
近年のベトナムの法令(具体的には政令175/2024/NĐ-CP 第119条2項)におきましても、外国契約者のPMO設立に関する義務が明確に規定されております。
これらの規定は、プロジェクトの効率的な運営と適切な監督体制の確保を目的として規定されております。
結論:適切な法的枠組みの構築がプロジェクト成功の基盤
ベトナムにおける建設プロジェクト、特に日本の高度な技術力が求められる案件は、同国の持続的な発展に不可欠であり、今後も多くの事業機会が見込まれます。しかしながら、その潜在力を最大限に活用するためには、駐在員事務所の機能的限界を正確に理解し、プロジェクト遂行のためにはPMOの設立が法的にも実務的にも必須であることをご認識いただくことが肝要でございます。
本稿にてご説明申し上げました内容が、これからベトナムへの進出やプロジェクト参画をご検討されておられる皆様にとって、ご参考の一助となれば幸甚に存じます。具体的な案件をご推進される際には、必ず専門家にご相談賜り、適切な法的・税務的対応を講じられますようお願い申し上げます。
何か質問等ございましたら、ご質問いただけますと幸いです。