産業用原材料の輸入に係るユーザンス期間の短縮
  
Topic : Economic
Country : Bangladesh

いつもWiki Investment をご覧いただきありがとうございます。

本日は、「産業用原材料の輸入に係るユーザンス期間の短縮」についてです。

 

  1. 概要

バングラデシュ中央銀行 Foreign Exchange Policy Department(外為政策部)は、2025年12月29日、輸入取引の円滑化を目的として、ユーザンス期間の短縮に関する外為通達を発行しました。

 

ユーザンスとは、輸入者が商品を先に受け取り、一定期間後に代金を支払う決済条件のことを指します。

 

ユーザンス期間については、2024年末までは180日が基本とされていましたが、2025年1月および8月にバングラデシュ中央銀行は最大360日まで延長する措置を講じました。これらの延長措置は、工業原材料等の輸入を継続させるための一時的な対応として導入されたものです。背景には、国際的なエネルギー価格の上昇や輸入支払いの増加を受け、外貨市場の流動性が逼迫していた当時の経済環境がありました。

 

こうした状況下において、輸入者のドル調達や支払負担、ならびに貿易・製造業における資金繰りへの影響を緩和する観点から、ユーザンス期間を360日まで延長する措置が認められていました。

 

今回の変更は、この360日という上限を270日に短縮するものです。本変更は、外貨管理および金融システム運営の観点から、より持続可能な制度運用へと移行することを目的としたものと位置付けられます。

 

360日という長期のユーザンス期間は、輸入者によるドル支払いの先送りを可能とする一方で、将来的に外貨支払いが集中することによる外貨準備への影響や、銀行における信用リスクおよび資金回収期間の長期化といった課題が指摘されていました。また、外貨需要の過度な先延ばしは、為替市場の需給構造に影響を与え、通貨安圧力を高める要因となる可能性もあります。

 

これらを踏まえ、中央銀行は360日の延長措置を一時的な支援策と位置付け、金融政策上の健全性との整合性を重視しつつ、ユーザンス期間を「270日または輸入者のキャッシュ・コンバージョン・サイクルのいずれか短い方」とする新たな基準を導入しました。(キャッシュ・コンバージョン・サイクルとは、企業が現金を支出してから、その現金が売上として回収されるまでに要する期間を示す指標です。)

これにより、輸入者の実態に即した資金繰り支援を確保しつつ、過度な支払猶予を抑制するバランスを図る制度設計となっています。

 

本通達は、バングラデシュに進出する日系企業にも一定の影響を及ぼすと考えられます。特に、日本から原材料・部品・設備等を輸入している製造業においては、これまで360日ユーザンスを前提としていた場合、支払期限の前倒しによる資金繰り計画の見直しが必要となる可能性があります。

一方で、多くの日系製造業は比較的キャッシュ・コンバージョン・サイクルが短く、事業実態に即した資金回収が行われているケースも多いため、実務上の影響は限定的となる場合もあります。ただし、銀行側の審査においては、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの合理性や裏付け資料の提出がより重視されることが想定されるため、取引銀行との事前協議や社内での資金フローの可視化が重要となります。

総じて、本措置は短期的には一部企業の資金繰りに調整を求めるものの、中長期的には外貨市場および金融システムの安定を通じて、バングラデシュにおける事業環境の持続性を高める方向性の政策と位置付けられます。

 

参考文書(あれば)
https://www.bangladeshtradeportal.gov.bd/kcfinder/upload/files/Legal_1767066632.pdf?utm_source=chatgpt.com

 

 

 今回は「産業用原材料の輸入に係るユーザンス期間の短縮」について解説しました。

 私たち「東京コンサルティングファーム」は、会計事務所を母体とした20ヵ国超に展開するグローバルコンサルティングファームです。

 海外現地では日本人駐在員とローカルスタッフが常駐しており、また各拠点に会計士・税理士・弁護士など専門家チームが所属しているため、お客様の多様なニーズに寄り添った対応が可能です。

 本稿に関するご相談はもちろん、海外進出から海外子会社管理、クロスボーダーM&A、事業戦略再構築など、海外進出に関する課題がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

※本記事は、バングラデシュに関する一般的な情報提供のみを目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。

Creater : 塚田 涼太