こんにちは、ベトナム、ホーチミン支部の下田です。
本日は2026年ベトナム最低賃金改定の概要についてお知らせいたします。
1.最低賃金改定の概要
2026年1月1日より、ベトナムの地域別最低賃金が改定された。今回の改定は政府政令に基づくもので、全国を4つの地域に分け、それぞれの最低賃金が引き上げられている。
今回の改定では、全国平均で約7%程度の引き上げとなった。地域1(ハノイ市、ホーチミン市などの主要都市圏)が最も高く、地域4が最も低い水準となっている。

2.最低賃金改定が企業に与える影響
最低賃金の改定は、単に基本給の最低ラインが上がるという意味にとどまらない。企業経営においては、以下の点にも影響が生じる。
➀社会保険料への影響
ベトナムでは、給与額を基準として社会保険料が算定されるため、最低賃金の引き上げは企業負担分の増加につながる可能性がある。
改定後の最低賃金未満の賃金で働いている従業員を擁する企業以外は、直接的に賃金の引き上げを義務付けるものではないものの、社会保険料の算定基礎や上限額の見直しなどを通じて、結果として企業のコスト構造に着実な影響を及ぼすものである。
②残業代や各種手当の計算への影響
最低賃金の引き上げは、基本給だけでなく、残業代や深夜手当、休日手当といった各種割増賃金にも影響を与える。総人件費は想定以上に膨らむ可能性があり、事前の十分な試算と対応が求められる。
③社内の給与体系への影響
最低賃金層のみを引き上げた場合、既存従業員との賃金差が縮小し、等級制度や評価制度の再検討が必要となることも考えられる。企業としては、労働契約書の内容確認、社会保険申告額の見直し、2026年度の人件費予算の再計算などを行うことが重要である。また、法令順守の観点からも、最低賃金を下回る設定になっていないかの確認が求められる。
3.まとめ
最低賃金は毎年見直される制度であるが、その改定は企業経営の基礎部分に関わる重要な要素である。今回の引き上げを一時的なコスト増として捉えるのではなく、中長期的な人事戦略や経営計画の中で検討することが必要であると考えられる。