ベトナム会計の特徴②-コンプライアンス
  
Topic : Accounting
Country : Vietnam

引き続き、ベトナム会計の特徴についてまとめていきます。

今回はコンプライアンスという観点から以下の4点に関して解説をしていきます。

 

1,証憑

2,開示

3,監査

4,チーフアカウンタント

 

1,証憑

 ベトナム会計システムには、証憑書類の作成手順や管理方法、ファ イリング方法に関する事項に至るまで、細かく規定されています。

 証憑は大きく、①現預金に関するもの、②売上に関するもの、③棚卸資産に関するもの、④固定資産に関するもの、⑤賃金に関するものの5 つに分類されます。

 

また、罰則も定められており、内容と金額は下昨のようになります。

証憑の管理を日頃から適切に行う必要があります。

 

・証憑の内容が一部不十分な場合:300万~ 500万VNDの罰金

・証憑への署名が不適切、またはインボイス等の会計伝票の不足などがある場合:2,000 万~ 3,000 万VNDの罰金

・証憑に会計帳簿と一致しない偽造がある伝票がある場合など:5,000 万~ 10,000 万VNDの罰金

 

 特徴的なベトナムの証憑として、VATインボイスがあります。企業が物品を販売した、もしくはサービスを提供した場合に発行するものです。

 企業は、物品を購入する、またはサービスを享受する際に、取引先からVATインボイスを必ず入手しなければなりません。仮に、入手できなかった場合には、その支払の金額分は、仮受VATとの相殺が できないばかりか、法人所得税の算出時に損金への算入ができなくなります。

 ベトナムのローカル企業の中にはVATインボイスを発行できないという企業もあります。また、記載漏れまたは誤記入が発生することも少なくありません。特に重要事項の記載漏れおよび誤記入 は、税務調査の際に指摘を受けると、この費用に対する損金算入が認められなくなる恐れがあるため、VATインボイスの入手には細心の注意を払っていく必要があります。

 

2,開示

ベトナムにおいては非公開会社、公開会社のどちらも財務諸表である下記の開示が求められます。

・貸借対照表

・損益計算書

・キャッシュフロー計算書

・注記付属明細表

 

 日本との違いとしては、キャッシュフロー計算書の作成が任意ではなく義務である点と、株主資本変動計算書の作成は不要である点です。

これらは年次ですが、上場企業になると、年次財務諸表に加えて四半期財務諸表の開示が必要となります。

 

3,監査

 ベトナムでは全ての外国企業は1年に1度、独立の会計監査人による法定監査を受ける義務があります。ここで言う外国企業とは、1%でも外国の個人ないし法人が出資を行っている会社と解釈されていることから、日本企業は規模などに関係なく監査を受けなければなりません。

 

 スケジュールとしては、決算後90日以内に監査済み財務諸表の提出及び法人税の申告が必要になるため、少なくともそれまでに監査を完了する必要があります。ベトナムでは監査人が不足しているため、早めにスケジュールを組んで監査を進めてもらうよう、監査法人や会計事務所と相談をするのが良いかと思います。

 

また、例外として、設立直後などで初年度の期間が3か月未満の場合は、翌年度に監査を繰り越すことができます。

 

4,チーフアカウンタント

チーフアカウンタントはベトナム特有のものとなります。

 

 すべての外国企業は、チーフアカウンタントと呼ばれる資格を保持する人を置かなければなりません。

 もしくは、会計事務所に委託することもできます(会計法56 条)。この場合は会計事務所のチーフアカウンタントが実際に業務を行うのではなく、名義貸しのような形になります。

 ただし、企業の設立1年目に限っては、チーフアカウンタントを任命する代わりに、会計責任者を指名することができます。

 

 チーフアカウンタントは、企業の会計に関する責任を負い、企業の会計部門のマネジメントを行います。たとえば、支払に際して承認 をしたり、会計部門のスタッフのトレーニング、決算書類の作成・管理研修などを行います。また、会計帳簿、決算書、小切手、銀行口座の開設などの必要書類 にはチーフアカウンタントの署名が必要になります。

 

 チーフ・アカウンタントになるためには、資格試験に合格している必要があります。

 試験の受講要件として、会計に関する学部の大学や専門学校を卒業していて、最低2年以上の会計の実務経験がある必要があります。その条件を満たしていれば、専門学校の夜間コースで半年程度のチーフアカウンタント養成コースの授業を受け、試験を受講することができます。

 試験自体の難易度はけして高くなく、仮に落ちたとしても何度でも試験を受けることができます。そのため、同じチーフアカウンタントの資格を持っていても、実際の実力にはばらつきがあるため、採用時には注意が必要です。

 

 日本企業によっては、経験豊富なチーフ・アカウンタントをコストをかけて採用するのではなく、経験がない経理スタッフを一から教育して、

会計関連の管理職を育て、チーフ・アカウンタント業務に関しては、会計事務所に委託するといったケースも見受けられます。

 実務上、ある程度の規模の企業では、チーフ・アカウンタントを採用しているケースも多く見受けますが、規模の小さい企業の中にはチ ーフ・アカウンタントを外部委託しているケースが多くなっていま す。

 

本日は以上になります。

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Creater : 清水 信太