付加価値税(VAT)の基本と実務上の注意点
  
Topic : Tax
Country : Vietnam

皆さん、こんにちは。ホーチミン拠点の下田です。今回は付加価値税(VAT)の基本と実務上の注意点について分かりやすく説明します。

1.VATの概要

付加価値税(VAT)は、ベトナム国内における付加価値に対して課される税金であり、日本の消費税と類似した仕組みを持っています。形式上の納税者は企業(売り手)ですが、最終的な負担者は消費者となります。

2.VATの仕組み

VATは、売上時に受け取る「アウトプットVAT」から、仕入時に支払う「インプットVAT」を差し引いて計算されます。すなわち、納付額は「アウトプットVAT − インプットVAT」となります。これは日本の仮受消費税と仮払消費税と同様の考え方です。なお、控除しきれなかったインプットVATは無期限で繰り越すことが可能です。

3.インプットVAT控除の要件

インプットVATの控除が認められるためには、一定の条件を満たす必要があります。特に重要なのがVATインボイスの取得です。適正なインボイスがない場合、実際に支払いが行われていても控除が認められない可能性があります。

また、2,000万ドン以上の取引については銀行送金による決済が必要とされており、契約書や(輸出取引の場合は)通関申告書など、取引の実態を証明する書類の整備・保管も求められます。

4.VAT還付の基本

VAT還付は、インプットVATがアウトプットVATを上回る場合に申請可能であり、一般的に還付までには半年から1年程度を要します。

5.VAT還付に伴うリスク

VAT還付の申請を行うと、税務調査が実施されるケースが多く、その際にはVATに加えて法人税(CIT)、個人所得税(PIT)、外国契約者税(FCT)なども含めた総合的な確認が行われます。その結果、他税目に不備がある場合には是正が完了するまで還付が進まない、あるいは追徴課税が発生する可能性があります。

また近年は税務調査が厳格化しており、インボイス内容や取引実態について従来以上に詳細な確認が行われています。特に還付対象期間が長い場合には、指摘事項が増え、還付額の一部または全部が認められないリスクもあります。

6.実務上の対応ポイント

このような状況を踏まえると、VAT還付は必ずしも行うべきものではなく、将来的に売上の見込みがある場合には、インプットVATを繰り越して活用する選択も有効です。還付申請の可否については、資金繰りや税務リスクを踏まえた上で慎重に判断することが重要です。

 

Creater : 琴美 下田