こんにちは。べトナムハノイ拠点の小瀬です。
本日はベトナムにおける法人所得税(CIT)に関する重要な税務アップデートをお知らせいたします。
先日、タイニン省税務局より、新しい法人所得税の通達(第20/2026/TT-BTC号)および関連政令の施行に関する案内が発出されました。本通達は、2026年3月12日より施行され、2025年の課税期間から遡及して適用されます。
長年実務のベースとなっていた旧通達(78/2014/TT-BTCなど)が全面的に置き換えられる、非常に影響の大きい改定となっております。以下に主な5つの変更点をまとめました。
新通達の5つの重要ポイント
新通達の具体的な変更・規定ポイント
- 控除対象(損金算入)となる支出項目の具体化
新通達第3条にて、損金算入が認められる支出の証憑要件が規定されました。
特に以下の現代的な課題への支出が明記されています。
- 環境対策費: 温室効果ガス排出削減、カーボンニュートラル、ネットゼロ、汚染削減のための支出
- 技術・DX投資: 科学研究、技術開発、イノベーション、デジタルトランスフォーメーション(DX)のための支出
- 社会貢献・寄付: 教育、医療、文化への寄付金のほか、自然災害・疫病対策、大団結の家(nhà đại đoàn kết)や恩義の家(nhà tình nghĩa)の建設寄付
- その他: 職場におけるHIV/AIDS予防・対策への実費、補償を受けられない自然災害・疫病・不可抗力による損失など
2. 税制優遇と課税売上高の算定時期の指定
- 税制優遇の要件: 2025年法人所得税法に規定される優遇措置を享受するための必要書類が、新通達第4条で規定されました。
- 売上の計上時期: 一部のケースにおけるCIT課税売上高の算定タイミングが、政令第320/2025/ND-CP号および新通達第5条に基づき明確化されています。
3. 外国企業(外国契約者)に対する法人所得税ルールの整備
ベトナム国内で事業を行う外国企業に対する法人所得税の取り扱いが、新通達第7条に規定されました。
4. 【重要】拡張投資プロジェクトの登録資本額の通知義務
事業拡大の投資を行う企業には、以下の厳格な報告義務が課されます(政令第320/2025/ND-CP号第20条)。
- 通知期限: 遅くとも「拡張投資プロジェクトを実施した年の法人所得税の確定申告書を提出する時期」までに、管轄税務署へ書面で通知する必要があります。
- 変更時の対応: 実施過程において、登録済みの投資資本額に変更が生じた場合は、その都度税務機関への再通知が必須となります。
5. 過去法令の置き換え・無効化によるルールの一本化
以下の主要な旧法令が、本通達に置き換わる、または一部廃止となります。
- 完全置き換え: 通達78/2014/TT-BTC(従来のCIT基本通達)、通達96/2015/TT-BTC
- 一部廃止(抜粋):
- 通達103/2014/TT-BTC(外国契約者税)の一部条項
- 通達67/2022/TT-BTC(科学技術開発基金の計上・使用)の一部条項
- 通達83/2016/TT-BTC(投資優遇措置)の一部条項
今後のご対応について
本通達は2025年度の確定申告から適用されるため、今年度の経費精算ルール(特に環境対策やDX関連)の見直しや、拡張投資を行っている場合の税務署への書面通知漏れがないよう、十分なご留意をお願いいたします。
本件に関する具体的な税務処理への影響や、証憑書類の準備についてご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
引き続き、よろしくお願い申し上げます。