ベトナム進出に係る税制度
ベトナムに進出する際、またはベトナム企業とビジネスを行う際には、ベトナム側と日本側であらゆる税金が発生します。特にベトナムでは他国には見られないような税制度が存在しますので、それを知らずにベトナムで取引を行ってしまうと、思わぬところでベトナム税務当局より指摘を受けペナルティが発生し莫大なコストがかかってしまうこともあるでしょう。ここでは、それぞれのビジネス形態に合わせて、ベトナムの税制度をご紹介します。
*拠店を設けずにビジネスを行う場合
例えばベトナムへの輸出販売や、ベトナムで販売代理店を通じて活動を行う場合、PE認定課税および外国契約者税などに注意しましょう。ベトナム国内に拠点がない場合、通常ベトナムでは非居住者または外国法人と認識されます。その場合はベトナム国内で発生した所得のみが課税対象となります。
また、外国法人がベトナム企業と契約し、ベトナム国内でサービスを提供する場合には、所得に対して「外国契約者税」が課されます。この「外国契約者税」は拠店の有無に関わらず、ベトナムでビジネスを行う場合には必ず発生します。
*拠店を設けてビジネスを行う場合
ここではどのような形態の拠店なのかによって、課せられる税務規定が異なります。現地法人の場合、駐在員事務所の場合、それぞれベトナム側と日本側でみていきましょう。
ベトナム企業と同様に20%の法人所得税が適用されます。また、ベトナム現地法人および日本の親会社との間で、親子間取引が発生する場合には、租税条約、国際源泉課税、移転価格税制なども関わってきます。
日本側の留意点としては、日本からの出向者に係る給与負担や租税条約、移転価格税制、源泉課税に関する税務上のリスクがあります。
駐在員事務所では一切の営業活動を行うことができないため、営業収入もないため税務上のリスクもかなり限定されるといえます。駐在員事務所は法人所得税の課税対象ではなく、駐在員に課される個人所得税のみが課税対象となります。
ベトナムの駐在員事務所で発生した経費については、日本側の所得に合算して課税所得の計算が行われます。
以上、ベトナム側と日本側でそれぞれ抑えておくべき税制度の留意点を紹介しました。進出を考える際、まずはこういったベトナムの税制度を考慮しながら、法人の設立か駐在員事務所の設立かを検討していくことが重要となります。