ベトナムに進出を検討される際、納めるべき税金について関心のある経営者の方が多いかと存じます。ベトナムの法人税は20%であり、日本やASEAN諸国と比較すると低い法人税率でございます。
(例:日本23.2%、フィリピン25%、インドネシア22% 2021年現在)
このように、法人税率の低さがベトナム進出の魅力の一つですが、IT企業はさらに法人税の優遇税制を受けることが出来ます。
現在、IT企業の進出は南部や中部を中心に活発な傾向にございますので、是非ご参照いただけたら幸いです。
前記事で通達番号13/2020/TT-BTTTで定められるIT事業の優遇内容及び適用条件について、ご説明をさせていただきました。
本記事では、優遇税制を受けるための必要書類や留意点について下記の通り、ご説明が出来ればと存じます。
法人税の優遇を受けるための必要書類
・契約書
・発注書
・業務完了書もしくは完成品引渡書
・コマーシャルインボイス
・銀行送金証憑(200,000,000VND~)
・ソフトの開発状況の説明書類
・エンジニアの資格証明書
※契約書についてはソフトウェア開発業務の委託契約書で問題ございませんが、
契約書内にソフトウェア開発を行うことを明記しておくことが必要です。
その他の書類に関しましては、プロジェクトごと、請求単位ごとに作成をして開発したソフトウェアの名称や追加した機能の概要を、対象が特定できる範囲で記載することが良いかと存じます。
いずれの書類につきましても税務調査までに準備しておくことをご認識いただければ幸いです。
報告書の提出
ソフトウェアの情報および実施工程、適用税率について、情報通信省の情報技術局に毎年報告することが定められています。
通達番号71/2007/ND-CPの第15項によれば、毎年3月15日までに報告書を提出するよう記載されています。
留意点
法人税の優遇制度を受けるにあたり、あらかじめご留意いただきたい点を述べさせていただきます。
・ソフトウェア開発事業のみ優遇の対象になることから、それ以外の事業に対する税優遇は認められない。
・税務調査の結果、税優遇が否認される場合がある。
(自社の事業がソフトウェア開発事業であると考え、法人税の優遇が受けられることを前提に事業を行っていたにも関わらず、税務調査時に否認をされ、法人税の追徴や遅延利息、ペナルティを支払う。)
・税務調査では全ての証憑について、ベトナム語の書類が求められる。税務調査前までにしっかりとベトナム語訳されているものやベトナム語版の書類を準備しておくことが必要である。
優遇税制に関する実務面について説明をさせていただきました。
注意点としましては、税務調査時に税優遇が否認された場合、多額のペナルティを支払うリスクがある点かと存じます。予めご理解いただき、事前にしっかりと調査を行った上で、対応をしていただくことが良いかと存じます。
その他ベトナムに関する情報へのご質問等がございましたらお気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。