FCT(外国契約者税)は、ベトナムの特殊な税金ということで、ベトナムビジネスにおいて、知らずに取引をしてしまうことがあります。また、税コード取得期間、FCTの申告・納税スケジュールがタイトであることから、認識していながらもうっかり忘れてしまうこともあります。さらに自社で申告や納税をしている場合にも申告や納税の仕方が誤っているケースも見受けられます。
海外取引に関する税金であるため、ベトナム税務当局が税務調査をする際にも必ず着目することから、ベトナム関連のビジネスを展開される外国企業にとっては理解を欠かせない税金といえます。今回のブログを通して、改めてFCTについて意識するきっかけになれば幸いです。
《1.FCTの計算方法》
①控除方式
②直接方式
③ハイブリット方式
①控除法
売上VATと仕入VATとの差額によって、納付税額を計算する方法です。下記の3つの要件を全て満たす場合には、外国契約者がこの方法で申告・納税をします。
1)外国契約者がベトナムに恒久的施設を有しているかベトナムの居住者であること
2)契約で183日以上ベトナム国内にて役務提供を実施する期間があること
3)外国契約者がベトナム会計制度を適用し、税務登録かつ税コード取得していること
一般的にはVATの税率は10%、CITの税率は20%で計算されます。計算方法は、ベトナム国内にある企業が税金計算・申告する方法と同様です。
◆支払いVAT税額=課税額×VAT税率
◆支払いCIT税額=課税額×CIT税率
②直接法
下記の式に従って、ベトナムの法律で明記されているみなし税率に基づいて計算する方法です。①の方法に当てはまらない場合は、この方法を取ります。つまり、外国契約者に代わってベトナム国内で事業を行う者が代わりに納税する方法です。外国契約者税が①の条件に沿ってないケースもあることから、多くの場合、②の方法がよく用いられます。
【契約書上の金額が税込み価格】
FCT(外国契約者税)= VAT(付加価値税)+ CIT(法人所得税)
VAT = VAT課税売上 × VAT税率
CIT = (CIT課税売上 – VAT) × CIT税率
一般的サービスの場合
※その他の事業に関する税率は、「ベトナムの外国契約者税(FCT)の税率と納税方法②」をご参照ください。
VAT=2,000USD×5%
=100USD
CIT=(2,000USD - 100USD)×5%
=95USD
FCT=100USD+95USD
【契約書上の金額が税抜き価格】
◆支払いVAT額=VAT課税売上×VAT率
◆支払いCIT 額=(CIT課税売上)×CIT率
一般的サービスの場合
※その他の事業に関する税率は、「ベトナムの外国契約者税(FCT)の税率と納税方法②」をご参照ください。
契約が1,900USD(税別)とした際、
支払いVAT額=2,000USD×5%=100USD

支払いCIT 額=2,000USD×5%=100USD
FCT=支払いVAT額+支払いCIT額
=100USD+100USD
=200USD
③ハイブリット方式
CITに関しては直接法、VATに関して控除法を使用して計算する方法となります。※プロジェクト(建設等)等で使用されるケースがあります。
ベトナムの外国契約者税(FCT)の計算方法について見てみました。これを通じて、皆様のベトナム法人ではベトナムの外国契約者税への対応を含め、ベトナムの税務コンプライアンスを遵守して会社経営ができているか、税務会計の見直しをするきっかけになれば幸いです。
その他ベトナムに関する情報へのご質問等がございましたらお気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。