ベトナムの移転価格税制とは②
前回①では移転価格税制とは何かを簡単にご紹介しましたが、今回は移転価格文書に関する事柄についてご紹介していきます。2020年12月に、政令Decree132/2020/ND-CPの一部が改正されました。それを踏まえたうえで、移転価格文書作成にあたり留意点をご紹介します。
〈移転価格フォーム〉
Form01:関連会社との関係及び関連会社間での取引に関する情報
Form02:ローカルファイルを作成するための必要な情報
Form03:マスターファイルを作成するための必要な情報
Form04:国別報告書の公表
〈それぞれの文書について〉
ローカルファイル
➡納税義務者の取引の詳細情報
独立企業間での取引価格を算定するための詳細な情報が必要
マスターファイル
➡親会社グループ全体の情報
グループ内の組織構造や事業内容及び財務状況など、グループ全体の活動に関する情報
国別報告書(CbCR)
➡グループごとに分けて売上高や従業員数をまとめた情報
グループ内の国別で、収入や利益など国別の活動状況に関する情報
※国別報告書は「①納税者がベトナム国外に最終親会社を有している場合②最終親会社がベトナムの場合」のこの2つのパターンにのみ作成する必要があります。
〈免除規定〉
・会計年度において納税者の総売上が50億VND未満かつ関連者間取引の総金額が30億VND未満の場合
・税務局と移転価格事前確認の合意書(APA)を締結し、APAの年次報告書を提出していること
・納税者の事業内容が単純で、売上が200憶VND未満かつ、借入利息及び税引き前利益の合計/売上の割合が販売業の場合は5%以上、製造業の場合は10%以上、加工業の場合は15%以上である場合
〈提出期限〉
*税務調査があった場合、提出を要求された日から15営業日以内
*税務調査前の場合、提出を要求された日から30営業日以内(15日の延長が可能)
以上、移転価格文書についての詳細です。日本とベトナムで関連者定義やそれぞれの文書に相違点がございますので、移転価格税制への対応は専門家を通した対応が必要かと思います。