ベトナムでは9月末に隔離措置が緩和され、ワクチン接種が進み感染者が減少傾向にあったものの、
11月9日時点で、1日あたりの感染者数は8,129人と9月30日以降で最も多く、感染者は増加している状況でございます。
11月4日以降、ハノイ市では30人以上の集会を禁止し、飲食店は21時までの営業となっています。
そのような中、COVID-19パンデミックの影響を受ける雇用者及び被雇用者への財政支援を目的とした政令が発布されております。
今回は、重要事項について抜粋し以下の通りご紹介をさせていただきます。
1.社会保険料金の引き下げ
2.失業保険料金(企業負担分)の免除
3.法人所得税及び付加価値税の減額
1.社会保険料金の引き下げ
2021年7月1日、COVID-19による従業員と雇用者の経済支援を目的に68 / NQ-CPが発行されました。
社会保険料金について下記が適用されております。
【労働災害・職業病の社会保険料を引き下げ】
社会保険料に含まれる労災・職業病保険料について、 企業負担分が0%(これまでは0.5%)に引き下げられます。
適用期間:1年間(2021年7月1日~2022年6月30日まで)
⇒社会保険料の引き下げにより、控除分の金額について企業の方針に従い下記2通りの方法で対応することが可能です。
尚、当該料金は2021年7月分より繰り越して使用することが出来ます。
①従業員に返金する(給与計算時、給与計算額に追加)
②コロナウイルス対策の必要経費として使用する
上記の対応について証拠として社内書類を作成、保管していただくことが必要となります点、ご留意ください。
社内書類の必要情報としましては、以下の通りです。
①の場合
1.通達68/NQ-CPにより社会保険料金の引き下げがある旨
2.引き下げた金額を受け取る従業員のリスト
②の場合
1.通達68/NQ-CPにより社会保険料金の引き下げがある旨
2.使用用途(消毒液、マスク、PCR検査費用等)
※ レッドインボイスを発行された場合のみ適用が可能となります。
2.失業保険料金(企業負担分)の免除
2021年9月24日、COVID-19パンデミックの影響を受ける雇用者及び被雇用者を支援するため、政令No.116/NQ-CPが発布されました。
失業保険基金の残高分に対して、COVID-19パンデミックの影響を受けた従業員への財政支援が行われます。
対象としては、2021年9月30日時点で失業保険に加入している労働者です。
上記の労働者を対象に、失業保険料金の雇用主負担率が1%から0%に引き下げられます。
(従業員による負担分はこれまで通り、1%です。)
適用期間:
2021年10月1日から2022年9月30日までの12か月間
⇒2021年10月分の給与計算より免除の対象となります。
3.法人所得税及び付加価値税の減額
2021年10月19日、COVID-19の影響を受ける企業や人々を支援することを目的として、406/NQ-UBTVQH15が発布されました。
・法人税(CIT)
2021年の会計年度の売上高が2,000億VND(約9億2000万円)を超えない、
かつ2019年度の売上から減収した企業を対象に、2021度における法人税が30%減額されます。
減額の対象としては、ベトナムの法律に基づいて事業を行う全ての企業です。
2020年度、2021年度中に、設立・合併・統合・分割された企業は、2019年度の売上から減収するという条件の適用はございません。
・付加価値税(VAT)
新型コロナウイルスによる影響を受けた個人を支援するため、付加価値税が30%減額され、7%の適用となります。
適用対象は、以下の商品・サービスです。
(i) 運輸サービス(陸運、海運、空運、その他運輸);宿泊サービス;飲食サービス;旅行代理店、観光ツアー事業のサービス、
および、観光ツアーの広告および 実施に関連する各種支援サービス;
(ii)出版製品・サービス;映画サービス、テレビ番組制作、音楽の録画および出版;芸術作品、および、創作・芸術・娯楽サービス;図書館、記録保管、博物館
および、その他文化活動のサービス;スポーツ、遊戯および娯楽サービス(出版ソフトウェアおよびオンライン形態での各種製品サービスは含みません)。
適用期間:2021年11月1日~2021年12月31日
施行に向けて具体的な減免税額の計算方法や手続き・書類に関する規定については、未だ正式な政令が出ておりませんのでご留意ください。
終わりに 新型コロナウイルスのパンデミックの影響による経営状態の悪化により、休眠や撤退を余儀なくされる企業も増えているかと思います。
財政支援に関する政令は順次発布されておりますので、企業や個人を支援するための政策を最大限活用いただき、財務体質の改善に繋げていただければと存じます。
今後も、新たな政令が発布される可能性がございますので、情報が分かり次第、最新の情報を随時お伝えさせていただきます。
また弊社では、財務の視点から経営課題を洗い出し、財務体質の改善を目的とした財務分析ツール「財務の役者」を提供しております。
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