■ マレーシアにおける株式の概要 マレーシアでは、定款の定めにより、普通株式だけではなく、種類 株式や優先株式を発行することが可能です。種類株式、優先株式と は、配当金、議決権、資本金の払戻し等についての優先権または制限 を定めた株式です。 なお、新会社法では、額面制度と授権資本制度が廃止されています (74条、97条)。 ■ 新株の発行 [ 設立時の新株発行] 法人設立の最低資本金は1リンギットであり、会社設立時には最低 1株(1リンギット)発行する必要があります。ただし、これは最低 の払込資本であり、事業を行うためのライセンスや就労ビザ取得を考 慮したものではありません。業種、外資の資本比率、ビザの種類等に より、設立時の必要発行株式数が変わってきます。そのため、実際に 設立を検討する際は、業種や設立形態等の情報をもとに当局に問い合 わせるか、専門家に相談する必要があります。 [ 設立後の新株発行] 通常(臨時)株主総会によって発行株式数、種類が採択されます。 通常株式を発行する場合は年次株主総会で普通決議を行い、取締役会 で決定します。 新会社法では新株発行に関し、以下のことが認められています。 ・ 異なる階級で発行できる ・ 償還することができる(69条) ■ 増資 会社が解散する場合を除き、増資された資本のいかなる部分も繰上 償還することができないという条件のもとで、自己資本の額を増額す ることができます(84条)。 これら一連の業務は会社秘書役が行います。会社は資本金の入金を 確認できた段階で、銀行の入金確認書を会社秘書役へ送付します。そ の後、会社秘書役は増資手続に必要な書類を準備します。 増資は株主総会の承認事項ですが、決議を行うことにより、取締役 会に権限を委譲することも可能です。その場合、取締役決議書も必要 となります(75、76条)。 [ 必要書類] 株式割当 ・ 所定のフォーム類 ・ 取締役決議書(臨時株主総会招集通知、株式割当など) ・ 株主決議書(取締役会に株式割当の権限を与える) ・ 各株主の株式割当承諾書(Allotment Letter) 株式譲渡 ・ 取締役決議書(株式譲渡を承認) ・ フォーム32A(作成、署名後、印紙税の納付) これらの書類の必要箇所への署名・印紙税納付が完了し、マレーシ ア会社登記所に届出を行うことで、増資額が払込資本金に反映され ます。増資の事実がCCMの会社情報(Company Profile)に反映さ れるまで、通常1 ~ 2カ月かかります。所定の費用を支払い、エクス プレスファイリング(Express Filling)と呼ばれる至急データ更新を CCMに申請すると、約1〜2週間で反映させることも可能です。こ れは会社設立後、ビザ申請やさまざまな申請を行うために要する日数 を短縮する場合に有効です。 ■ 減資 会社法では、減資を行うためには、株主総会の特別決議で議決権の 3/4以上の賛成が必要と定められています。 旧会社法では、減資を行うには株主総会の特別決議による承認と裁 判所の承認が必要とされていました。しかし、新会社法では裁判所の 承認を取得する従来の方法による減資に加え、非公開会社に限って、 下記のプロセスを満たす場合は裁判所による承認がなくとも減資を行 えるようになりました(117条)。 ・ 株主総会の特別決議による承認 ・ 特別決議の日から7日以内に、マレーシア内国歳入庁長官 (Director General of the Inland Revenue Board of Malaysia) およびマレーシア会社登記所に対して通知の送付 ・ 会社の全取締役が減資に関する支払能力宣言(Solvency Statement)を作成 資本金の増資手続では旧会社法からの変更点はありませんでした が、減資手続においては旧会社法と比較して手続が簡素化されていま す。 ■ 自己株式の取得 公開会社では、定款に記載があれば自己株式の購入が認められてい ます。ただし、自己株式の取得は、以下に該当する場合は行うことが できません(127条)。 ・ 取得日において支払能力がない場合。取得した株式に対しての支 払義務のある債務によって支払能力がなくなってしまう場合 ・ 有価証券法に関連した法によって取引が行われない場合 ・ 不正があり、自社の利益にならない場合 違反した場合は、懲役5年、もしくは1 0万リンギット、またはそ の両方が科されます。