Malaysia
Closing (Company closing process)
:: Question ::
清算手続きにはどのような手法がありますでしょうか。
:: Answer ::

 会社法には、以下の4つの方法が記載されています。

■裁判所による清算(Winding Up by Court)
この方法は、債務者、債権者、所轄大臣などの「申立て(Petition)」により開始されます。会社法4 6 4条は裁判所が強制的に会社を閉鎖
させる要件を規定しており、申立て原因が規定の要件のいずれかに該当する場合、裁判所は閉鎖命令を発します。
債権者が申立を行う場合の最低債権金額である1万リンギット以上の債務を、期限から3週間以内に弁済できない場合に、当該企業は支払不能(Unable to Pay)の状態にあるとされ、申立が認められます。
従前、最低債権金額が5 0 0リンギットであった際には、解散を意図する場合に、第三者に依頼して自社に対して負債の取立ての裁判を起こさせ、その裁判で抗弁せずに敗訴して支払不能とし、それを理由に破産手続を申請させ、会社を閉鎖させるという方法が広く用いられていました。現在はこの金額が1万リンギット以上に引上げられていますが、ほかの清算手続と比較して簡易であり、費用が少なくかつ短時間で閉鎖が成立する方法だと言われています。

■株主による任意清算(Members ’ Voluntary Winding Up)
株主による任意清算は、債務者会社自身がその定款に定める特別決議により手続を開始します(445条)。ただし、すでに支払不能を理
由として裁判所による閉鎖が指示されている場合には、株主による任意清算手続は開始できません。
手続は会社の特別決議のみにより開始され、裁判所への申立を要せず、裁判所の関与は限定されます。
会社法4 4 3条1項(B)の規定により、会社が向こう1 2カ月以内に全債務を弁済できる状況下で会社が清算を行いたい場合、会社はその特別決議をもって株主による清算を宣言できます(Declaration of Solvency)。
株主総会で株主による清算の特別決議がなされ、清算人(Liquidator)が指名されると、清算に関する取締役会の議事録、債務不履行届、財務報告、清算人指名通知、決議通知書、公的財産管理事務所への届出、会社登記官長への通知、国税庁長官への通知などを、マレーシア関係各省庁に提出します。
清算人が提出作業をすべて終了し、最終的に清算が認められるまでには、清算の決定日から最低で2年を要します。費用は、会社の規模や清算人のレベルによって異なりますが、諸費用込みで2 0万~ 3 0万リンギット程度となります。

■債権者による任意清算(Creditors ’ Voluntary Winding Up)
会社がすでに支払不能の状態にあるか、または将来そうなる可能性がある場合、つまり債権者に損害を与える可能性のある場合、債務者である会社自身が招集した債権者会議において、特別決議(Resolution for Voluntary Winding Up)を採択することにより手続が開始される清算手続です(449条)。
株主総会で清算人が指名される点は株主による清算と同じですが、株主総会後、債権者集会が開かれ、債権者は株主総会と異なる清算人
を指名することができます。この場合、債権者集会で指名された者が正式な清算人となります。
株主による任意清算との決定的な違いは、支弁能力宣言(Declaration of Solvency)が行われないという点にあります。この方法で債務者である会社を清算させようとする債権者は、債権者が親会社または関連会社である場合を除いては、あまり想定できません。
その場合でも親会社や関連会社が債権を放棄すれば、株主による清算が成立するため、この方法での清算はマレーシアでは行われていません。

■登記抹消(Strik Off)
登記抹消はマレーシア会社登記所(CCM)の長たる会社登記官がその権限において、登記抹消に関する官報(Gazette)で告知後、法定期間30日を経ても何人からも不服申し立て(Objection to Striking Off)がない場合に行うことができる手続です。
従前、この方法による会社清算はほとんど行われることがありませんでしたが、マレーシアでは実質的に休眠中の会社が多く、それらを整理するために、CCMがこの方法を用いて稼働していない会社の登記抹消を始めた経緯があります。
会社法5 4 9条には、会社登記官が自ら先手を打って登記抹消を行うように記されていますが、現実的には、会社の株主または取締役が会社秘書役を通じて登記抹消申請をします。
登記抹消の条件は、事業活動が停止していること、債権・債務が一切ないこと、係争案件がないこと、従業員がいないことなどです。
株主による任意清算と比べると、条件が整った会社なら、登記抹消のほうが時間的にも金銭的にも簡易です。費用は会社秘書役とCCMへの支払の合計で、5,0 0 0リンギット程度です。条件が整った状態で申請すれば半年以内に、会社はCCMの会社登記簿から抹消されます。
なお、日本の上場企業が子会社であるマレーシアの現地法人を、登記抹消によって清算した例は、ほとんどありません。なぜなら、日本の国税庁ならびに株主が、登記抹消による清算という説明を受け入れない可能性があるからです。

Creater : Yuji Abiko