Turkey
Basic Information (Politics)
:: Question ::
政権の過去からの動向はどのようになってますか?
:: Answer ::
民主主義及び資本主義体制から乖離する動向(イスラーム回帰)が伺えます。 [2度の軍事クーデターとクーデター未遂事件] トルコ軍は憲法上では文民統制されていることになっていますが、実際には1960年、1980年と過去2度軍事クーデターが起きています。 長期にわたる経済停滞による政治の混乱や、政教分離の危機などがその理由とされています。 2016年7月15日には、一部のトルコ軍兵士によるクーデター未遂事件が発生し、多くの軍関係者や司法関係者が逮捕・更迭されました。 エルドアン政権は、当該事件の発生をイスラム教指導者フェトフッラー・ギュレン氏の支持組織(FETO)によるものだとして、過去組織へ関与した国家公務員の職務停止や報道機関の免許剥奪等、FETO関係者に対する粛清が現在でも続けられています。 [EU加盟への道] トルコは1987年にEU加盟申請を行い、1999年加盟候補国として承認されました。 2005年から加盟交渉はスタートしましたが、交渉分野は35に及び厳しい条件が付されています。 クルド人に対する人権抑圧、キプロス問題、政治・金融不安の問題、さらにはイスラムへの脅威などから、加盟に強く反対する国もあり、加盟実現へのハードルは依然として高いというのが現状です。 [多角的外交と「エネルギー回廊戦略」] 2002年に政権与党となった公正発展党(AKP)が掲げた「ゼロ・プロブレム外交」を実践すべく、近隣諸国との関係改善を図るとともに、欧州とアジアを結ぶ地政学的かつ歴史的特徴をいかした独自の多角的外交を行っています。 長い間対立関係にあった隣国アルメニアとの国交樹立への合意、キプロス問題を抱えるギリシャとの関係改善、最大の貿易相手国であるロシアとのエネルギー戦略関係の強化、トルコ系民族の多い中央アジアやコーカサスの国々との関係構築などさまざまな展開を見せています。 また、トルコ国内にはロシアや中央アジア、中東地域と欧州などを結ぶ石油・天然ガスのパイプラインが縦横に敷かれ、外交上の重要なポジション確保と大きな経済効果を得ています。 [対米関係への懸念] 2016年10月、トルコ政府がクーデター未遂事件に関与したとしてアメリカ人牧師を拘束したことがきっかけとなり、両国間の関係は一時期急速に悪化しました。 追加関税や双方閣僚の資産凍結等、二国間で経済制裁の応酬が繰り返されました。2018年に起きた「トルコショック」と呼ばれる通貨危機は上記の経緯により引き起こされたとも言われています。 2018年10月、アメリカ人牧師は解放され、両国による報復関税の引き下げが進められている中、今後の動向がより一層注目されるところです。 [イスラーム化加速するトルコ] 2021年3月、最高検察庁はトルコ国家の一体性を脅かしているとして議会で野党第2党を占めるHDP(クルド系人民民主党)の解党を命じました。 これに対し国際社会は、トルコでは多様性の終焉に向かっており民主主義の実態が損なわれると懸念を示しています。 さらに、エルドアン大統領が国際的な条約である「女性への暴力およびドメスティックバイオレンス(DV)防止条約」から離脱することを表明し、国際社会やトルコ国内の女性から激しい抗議や批判を受けています。 このように、民主主義を中心とする国際社会とは相いれない(イスラーム色を強めるような)政策・措置を次々と実行しようとするトルコ政府に対し国際社会は強い批判の声をあげています。 上記に述べた政策や措置の背景には2023年に行われる大統領選挙に向けたキャンペーンの一環であるとする見方もありますが、世俗主義を中心とする現行憲法改正に向けた動きでもあると考えられるので、これまでよりもイスラーム色が徐々に強まってきていると捉えられるといえるのではないでしょうか。
Creater : Yumi Miura