Vietnam
Basic Information (History)
:: Question ::
主な歴史的な変動は?
:: Answer ::

ベトナムの歴史は、繰り返し行われてきた外国からの侵略と支配、それに対する抵抗と独立に向けての戦いの歴史といえます。

中国による1000年にわたる支配、1884年からのフランス植民地支配、1940年からの日本による統治があり、1945年の独立後も南北の分断やベトナム戦争がありました。これらの苛烈な歴史を経て、1976年、ベトナム社会主義共和国が発足し現在に至っています。

 

[フランス領インドシナ連邦]

19世紀には、アヘン戦争をきっかけとした欧州列強によるアジア支配がベトナムにも及びます。1858年にフランスがインドシナ半島に侵攻したのを契機に、ベトナムはカンボジアとともにフランスの植民地となり、フランス領インドシナ連邦に組み込まれます。その後、植民地支配は100年近く続きます。

[ベトナム共産党の結成]

フランスによる植民地支配の中、1920年頃からはソビエトのコミンテルン(共産主義インターナショナル)の影響で民族運動が盛んになり、ホー・チ・ミンによってベトナム共産党が1930年に結成され、独立運動を展開します。

[第二次世界大戦]

第二次世界大戦が始まると、フランス植民地支配からの独立の機運はさらに高まり、独立運動組織であるベトミンを中心としてゲリラ戦が展開されました。1940年に日本軍が侵攻しますが、1945年8月15日に日本の全面降伏により第二次世界大戦は終結し、日本軍の進駐は終了します。翌8月16日、ホー・チ・ミンによってベトナム民主共和国の独立宣言が行われました。

[インドシナ戦争とジュネーブ協定]

フランスはベトナム民主共和国の独立を認めず、再植民地化を図ります。1946年、ハイフォンやハノイでフランス軍とベトミンによる武力衝突が起き、インドシナ戦争が勃発します。 フランスは数十万もの植民地軍を派兵しましたが劣勢が続き、1953年のディエンビエンフーでの決定的な敗北を受けて、和平交渉による終結へと方針を転換します。

インドシナでの休戦を定めたジュネーブ協定が1954年に締結され、それに基づき、1956年にフランスは完全撤退しました。また、この協定において北緯17度線での暫定的軍事境界線が設置され、ベトナムは南北に分断された状態となります。

[東西冷戦とベトナム戦争]

インドシナ戦争末期には、ソ連(現ロシア)と中華人民共和国がベトナム民主共和国(北ベトナム)を承認して武器援助を始め、アメリカがフランス側の援助を始め、東西冷戦を背景とした代理戦争としての意味合いを強めていきます。

ジュネーブ協定によってフランスが撤退した後、アメリカはベトナムを反共産主義の防波堤と位置付けて直接介入を始めます。サイゴン(現ホーチミン市)に傀儡(かいらい)政権を成立させ、1955年にベトナム共和国(南ベトナム)の樹立が宣言されます。それに対し、反米勢力による武装闘争が始まり、1960年に南ベトナム解放民族戦線が結成されます。

アメリカはますます軍事介入を強め、ついに1965年に北ベトナムのハノイへの空爆を開始し、ベトナム戦争が始まりました。しかし、アメリカは莫大な軍備を投入したにもかかわらず、事態は泥沼化したまま活路を見出せず、1973年に撤退しました。

北ベトナム政府はこれを契機に南北統一を目指し、南ベトナム軍への攻撃を開始します。

1975年に南ベトナムのサイゴンの陥落によりベトナム戦争が終結しました。この凄惨な戦争により、ベトナムには数百万人の犠牲者と国土の荒廃がもたらされる結果となりました。

[ドイモイ(刷新)と全方位外交]

南北統一以降に進めてきた社会主義経済化の挫折から、1986年より市場経済化を目指す「ドイモイ」(刷新)政策に転換し、改革・開放路線に転じました。ドイモイ政策とは、社会主義路線の見直し、重工業優先から軽工業優先への転換、市場経済の導入(国営以外の企業や私有財産の是認)等からなり、この政策により、経済は大きく発展することとなります。

一方で、1989年のカンボジアからの撤退により国際的な孤立の要因がなくなったことや1991年に最大の貿易相手国であったソ連が崩壊したことで、ベトナムは全方位外交路線を歩むこととなります。その後中国、フランス、アメリカ等それまで敵対していた国とも相次いで国交を正常化させ、また1995年にはASEANにも加盟するなど、国際社会と積極的に協力するようになりました。

[21世紀のベトナム]

ドイモイ政策により経済成長を遂げ、全方位外交により国際協調路線を歩んできたベトナムは、2007年にはWTOへの加盟を果たします。また、2008年の国連安全保障理事会の非常任理事国入り、2010年にはASEAN、2017年にはAPECの議長国就任など、アジア太平洋地域や国際社会での関係強化に非常に意欲的です。

Creater : 清水 信太