1. DESの意味と実務上の仕訳
Debt-Equity Swap(DES)とは、企業が抱える債務(Debt)を株式(Equity)に転換する取引スキームのことです。
債権者は債権を株式に変換し、債務者企業は負債を軽減して資本を増強します。
これにより企業の財務体質を改善し、債権者は株主として将来の収益還元を期待できるようになります。
仕訳イメージ(債務者側)
内容 |
仕訳例 |
債務消滅 |
借方:借入金 / 貸方:資本金または資本剰余金 |
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会計上はIFRSまたはミャンマー会計基準に基づき、債権・株式の公正価値評価を行います。
2. 法制度の由来と日本との相違
ミャンマーでは、Myanmar Companies Law 2017およびInsolvency Law 2020(企業再建法)により、
企業再構成の一環として債務を株式に転換する取引が認められています。
ただし、DESが独立した制度として明文化されているわけではなく、
裁判所・中央銀行(CBM)・投資委員会(MIC)などの承認を経て実施されるケースが多いのが特徴です。
一方、日本では「DES」という法律は存在しません。
しかし、会社法第28条(現物出資)や第199条(債権払い込みによる増資)を利用すれば、
同様の経済効果を持つ「債務の株式化」が可能です。
日本は法的・税務ルールが明確化されているため、実行上のリスクが少ない点で異なります。
3. 税務上の取り扱い
ミャンマーではDESに関する明確な税務ガイドラインは未整備です。
そのため、実務上は「資本取引Capital transaction」に属すため、一切課税されることはありませんが、
頻繫に利用されるようになれば、他国のように「債務消滅益」等として課税されるようになる可能性はゼロではありません。
4. どのような企業がDESを必要とするか
DESは以下のような企業に有効な再構成手段です。
DESを導入することで、債務圧縮と資本強化を同時に実現できます。
5. TCFのサポート内容
TCFは、ミャンマーでのDES導入を検討する企業に対し、
アドバイザリーから登記変更までの一貫支援を提供しています。
サービス |
内容 |
アドバイザリー |
DESスキーム設計、債権者・株主調整支援 |
必要書類作成 |
契約書、定款変更、決議書、評価書の作成 |
登記変更業務 |
DICA登記変更、CBM・MIC申請手続き対応 |
税務・会計助言 |
IFRS/ローカル基準準拠の仕訳・税務分析支援 |
TCFは、法務・会計・税務の各専門家と連携し、
企業が安心してDESを実行できるよう安全かつ実務的なサポートを行っています。
まとめ
ミャンマーにおけるDESは、まだ発展途上の実務ですが、
適切に設計すれば企業再建の有効な手段となります。
TCFは、法制度の理解から実行支援まで、
企業の再構成をワンストップでサポートしています。