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今回は
【タイ人従業員が新型コロナに感染した際の労務対応について】というテーマで、お話していこうと思います。
タイ人従業員が新型コロナに感染した際の労務対応について
(1) 従業員が感染の疑いがあり、休みを取る場合
原則としては、傷病休暇扱いとなりますが、従業員との個別の同意があれば、
No-work No-pay(自宅待機期間の賃金支払を行わない)や年次有給休暇といった対応も可能になります。
また、企業によっては、新たに「新型コロナのための臨時特別休暇(14日間有給)」を設け、対応しているケースもあります。
なお、同意があればNo-work No-payでの対応も可能となっていますが、賃金が支払われないことが不満で、
従業員が出社してしまう可能性もあり、また、出社したことによって、社内やオフィスビル内で感染拡大の懸念もあるため、
一般的には傷病休暇として対応することが多いです。
下記、労働局の発表内容になります。(タイ語で恐れ入ります)
https://www.labour.go.th/index.php/53488-19-2
(2) 会社事情による一時的な休業の場合(会社に選択権がある場合)
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、通常的な事業活動が企業としてできず、
一時休業を止む無く判断しなければならない状況になった場合に関しては、事前に労働局に申し出を行い(開始をする3営業日前)、
認められた場合、休業中の賃金に関しては、75%での支払いで問題ありません。
そのため、例えば、企業内や同じビル内で感染者が発生し、運営が難しくなった場合などは、労働局に申し出ることによって認められます。
※なお、休業とは、ある一定期間連続した事業の休止を意味し、週に数回の勤務日を設ける場合は、休業ではなく就業時間の短縮となります。
就業時間の短縮を行ったとしても、月額で給与を受け取る従業員の場合は、従業員との事前同意がない限り、
給与額の減額は原則として認められませんので、ご留意ください。
(3) 政府が企業に対して、業務停止措置などを発表した場合(企業側で選択権がない場合)
原則として、企業側での賃金の補償(支給)は必要ありません。2020年3月頃より発生したタイ国内における新型コロナの第一波では、
社会保険局からの補償金支給等がありましたが、第二波でも、新規感染者の拡大状況に応じて、
再度政府や社会保険局などから補償金が別途支給があると予想されています。
また、現時点では、解雇まで踏み切る日系企業は少ないかもしれませんが、今後の動向が読めないため、
解雇時の手続きに関しても念のため確認しておきましょう。
・無期雇用従業員(期間の定めのない雇用契約)の解雇の場合
期間の定めのない雇用契約の場合、解雇の要件として1給与期間前の書面による解雇通知が必要となります。
(労働保護法17条2項)例えば、給与払いが毎月25日の企業だとして、25日に通知を行った場合は、
翌月25日に解雇とすることができます。しかし、26日に通知を行った場合、翌々月の25日まで解雇できないものとされています。
即時解雇を行いたい場合は、1給与期間分の給与を前払いすることにより、1給与期間待たずとも即時で解雇することが可能になります。
また、労働法119条1項所定の違反行為があった場合に関しては、解雇予告をせずに即時解雇とすることが可能となります。
なお、解雇通知を行う際には、解雇通知書に解雇理由の他に、理由に該当する事実を記載する必要があります。
・解雇補償金を支払うこと
普通解雇の場合は、解雇対象の従業員の勤続年数に応じて、解雇補償金の支払義務が発生します。
勤続期間 |
解雇補償金 |
120日以上~1年未満 |
30日分 |
1年以上~3年未満 |
90日分 |
3年以上~6年未満 |
180日分 |
6年以上~10年未満 |
240日分 |
10年以上~20年未満 |
300日分 |
20年以上 |
400日分 |
※解雇補償金の支払に加え、未使用の年次有給休暇の買取も必要となる点、ご留意ください。
厚生労働省のサイトでは、新型コロナの感染を防ぐために、私たち一人一人ができる感染症対策が記載されています。以下にて一部抜粋させて頂きます。
・人と人との距離をとること(Social distancing; 社会的距離)
・外出時はマスクを着用すること
・石けんによる手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒を行うこと
・家の中でも咳エチケットを心がけること
・家やオフィスの換気をすること
・十分な睡眠と、自己の健康管理をしっかりすること
皆さまも、どうかお体に気をつけてお過ごしください。
この記事に対するご質問・その他タイに関する情報へのご質問等がございましたらお気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。