【税務】所得税規則2026を公布
  
Topic : Accounting
Country : India

概要

2026年3月20日、中央直接税委員会(CBDT)は官報通知G.S.R.198(E)により「所得税規則2026」を公布しました。この規則は新しい「所得税法2025」を運用するためのもので、長年続いた1961年法を置き換えるものです。施行日は2026年4月1日とされており、企業や個人が従来の規則に基づいて行ってきた手続きを大きく変える可能性があります。日本企業にとっては、制度の簡素化とデジタル化が進む一方、PAN(納税者番号)提出義務や給与制度に関わる新しい要件への対応が必要になります。

ポイント

  • 制度の簡素化と規則数の削減:従来の所得税規則(1962年)は511条、399件の申告様式がありましたが、新規則では333条・190様式に減り、冗長な規定の整理と重複規定の統合が行われました。法文は平易な言葉に改められ、表や数式を多用してわかりやすく構成されています。
  • PAN提出の義務強化:新規則は、現金の預け入れ・引き出しや不動産取引などでPANの記載が必須となる取引限度額を引き上げました。銀行口座への現金の預金・引き出しは合計1,000,000ルピー以上の場合にPANが必要となり、ホテルや宴会場の支払いは10万ルピー超、二輪車を含む自動車購入では50万ルピー超の価格が対象となります。不動産売買や贈与等では200万ルピー超が対象となり、現行規則の100万ルピーから拡大されています。
  • 家賃手当(HRA)の優遇拡大:給与所得者向けの家賃手当控除の対象都市が拡大され、従来4都市(ムンバイ・デリー・コルカタ・チェンナイ)だった50%控除対象が、ハイデラバード、プネー、アーメダバード、バンガロールを加えた8都市に増えました。その他の都市は引き続き給与の40%が上限です。
  • 暗号資産やCBDCに関する規定:暗号取引所は取引情報を税務当局に提出する義務が課され、中央銀行デジタル通貨(CBDC)が電子決済手段として認められました。仮想通貨関連ビジネスを行う企業は取引記録の管理体制を強化する必要があります。
  • 資産評価とキャピタルゲイン計算の明確化:株式や社債を転換して取得した場合、原資産の保有期間も含めて計算することなど、資産の取得・転換に関する持ち分期間の算定方法が規定されました。これはインド子会社の株式を持つ日本企業にとって、企業再編時のキャピタルゲイン課税計算に影響します。
  • 監査人・企業の責任強化:新規則では監査人に対し、PANの重複チェックや外国税額控除申請の検証など、税務監査における責任が拡大されています。企業側も外国源泉所得に関する控除や税額控除の申告について、説明責任が強化されます。

まとめ

所得税法2025の運用を支える「所得税規則2026」は、規則と申告様式の数が大幅に減り、言語も整理されたことで、全体としてわかりやすくなりました。一方で、現金取引や大口購入に対するPANの提出義務拡大、HRA控除対象都市の拡大、暗号資産の情報提供義務など、新たなコンプライアンス項目が増えています。日本企業にとっては、これまでの税務手続きや内部統制を見直し、新規則に対応したガバナンス体制を整えることが急務です。特に従業員の給与処理(家賃手当の扱い)、現金取引や資産譲渡時のPAN要件、国際取引に伴う資産評価と税額控除計算などについて、インド側会計事務所や専門家と協働しながら詳細を確認することが求められます。法令文は日本語訳が存在しないため、現地の専門家や各種ガイドを用いた解釈が必要ですが、規則そのものは明確化・合理化を目指していることから、早期に準備することで税務リスクの低減が期待できます。

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Creater : 圭良 亀