BOI(タイ投資委員会)は2023年10月3日に、デジタルおよびソフトウェア事業に対する投資優遇措置の申請に関するガイドラインを発表しました。
今回はその一部である、申請要件や付与される恩典に関して紹介させて頂きます。
以下、ガイドライン発足に伴い、各種デジタルおよびソフトウェア事業の定義付けがされています。
【定義】
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ソフトウェア
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コンピュータ・プログラム、アプリケーション、システム、またはコンピュータ言語で記述されコンピュータや電子機器に割り当てられたとおりに動作するよう指示を出すもの
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デジタルプラットフォーム
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インターネットやその他の電子ネットワークを介して、情報交換、商品取引、もしくは、開発者とユーザーの間でサービスを交換するシステムやチャンネル
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デジタルコンテンツ
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ゲーム、アニメーション、テクノロジー、拡張現実 (AR)、仮想現実 (VR) など、コンピュータによって生成された動画
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【主要件】
また本通知では、ソフトウェア、デジタルプラットフォーム、デジタルコンテンツの開発に対する投資奨励の申請資格を有する申請者の要件を以下のように定められています。
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タイ国内での開発プロセスに関して
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a. ソフトウェア、デジタルプラットフォーム、デジタルコンテンツの新規開発であること。
b. 投資優遇措置申請前に開発された製品であっても、投資優遇措置申請後は、元の製品と差別化できる新たな機能を含むものであること。
c. 申請者は、ソフトウェア、デジタルプラットフォーム、デジタルコンテンツの開発に関する資料を提出しなければならず、それには少なくとも以下の情報が含まれていなければならない。
- 背景と市場の見込み
- 投資奨励金申請前に開発された製品の場合、ソフトウェア、デジタルプラットフォーム、デジタルコンテンツの機能の詳細
- 開発予定のソフトウェア、デジタルプラットフォーム、デジタルコンテンツの機能の詳細
- 開発に使用された技術
- ソフトウェア、デジタルプラットフォーム、デジタルコンテンツの開発計画とスケジュール
- 顧客、流通、ビジネスモデル
- 経営陣と開発技術チーム詳細
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最低支出額
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奨励申請後の追加雇用である情報技術分野の タイ人人員の給与費用から計算されるプロジ ェクトの最低投資金額は、年間150万バーツ以上であること。
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機械設備
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ソフトウェア、デジタルプラットフォーム、および/またはデジタルコンテンツの開発に直接使用されるハードウェアおよびソフトウェア。
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ここからは、上記の事業でBOI認可を取得した場合に付与される税務面での恩典に関して紹介させて頂きます。
【法人所得税免税恩典]
法人税免税恩典の年間上限額については、タイ人ITスタッフの給与費用、研修費用、品質・規格証明書取得費用に応じて以下のとおり定められています。
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費用項目
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詳細
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給与
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投資奨励金申請後に新規雇用されたITスタッフにかかる経費額分の100%
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トレーニング
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- 研修費用に対する費用は法人税計算上100%
- ただし、この研修は、IT、またはソフトウェア、デジタルプラットフォーム、デジタルコンテンツの開発に関連したものでなければならない
- 以下の費用は加算対象
- 外部機関による研修/オンラインコース:カリキュラム費用、教材費、旅費、修了証取得のための受験料
- 大学を通じた共同研修プログラムによる研修:研修の手配にかかる費用(教材費、旅費、講師の雇用費、研修手配のためのコンサルタントの雇用費、証明書取得のための受験料など)
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品質・規格証明書取得費用
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発生した費用は法人税計算上100%加算できるISO29110、CMMI(レベル2以上)、その他同等の認証を初めて取得する際に発生する費用に限ります。
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【法人所得税免税恩典の対象となる収益の種類】
投資優遇措置を受けるプロジェクト活動のためのソフトウェア、デジタルプラットフォーム、デジタルコンテンツの開発に直接関連するサービスの販売または提供から生じる収益のみが、法人税課税の免除を受けることができます。
これには以下の内容が含まれるとされています。
- 開発、インストール、テスト、改良、保守
- 販売
- プロダクト使用に対するライセンス料
- プロダクト使用に対するサブスクリプション料
- プロダクト仕様に対する各支払い
- アプリケーションの追加機能(アプリ内課金)の販売
- プロジェクトで開発されたデジタルサービスを提供するプラットフォームからの利用料(ソフトウェアのテストやデータ分析などのためのプラットフォームの利用による収入など)
- 契約に基づくソフトウェアまたはデジタルコンテンツの開発またはサブスクリプションからの収益分配
- プロダクトに表示される広告の料金
本日は以上となります。今週もお読みいただきありがとうございました!
※BOIの優遇措置や恩典、また申請方法は各業種により異なります。
今回「デジタルおよびソフトウェア事業・業種」に関する明確なガイドラインが発表されましたが、その他の業種に対しても、
また新たにガイドラインの発表・更新等ありましたら、ドンドンこちらでアップデートさせて頂きます。