タイ BOI企業へのグローバル・ミニマム課税導入に対する緩和処置
  
Topic : Accounting
Country : Thailand

BOIはタイも含めて各国で導入が進められているグローバルミニマム課税に対して、タイへの投資誘致を継続するため、当該税制導入に対する緩和処置を発表しました。

この新しい処置は、2023年度税制改正により、2024年4月1日以後、開始対象会計年度から、国際最低税額に対する 法人税(OECD の BEPS 2.0 グローバル・ミニマム課税の一つである所得合算ルール(Income Inclusion Rule:以下「IIR」))が適用されます。

グローバルミニマム課税の対象となる多国籍企業のグループ会社で、既存および新規進出でBOIの法人税優遇恩典を取得する以下の企業に対して適用されます。

  • 売上高:THB 28,000百万以上 もしくは
  • 親会社が移転価格税制におけるマスターファイル提出対象企業となっており、当BO企業がその国別報告書(CbCR)の対象企業となっている

:なお既存BOI企業は、免税恩典が残り一年以上あることと、適用に際してBOIへの追加申請が必要になります。

新規進出企業については、BOI恩典申請時に(a)後に税率変更も可能な免税恩典を適用するか、(b)当初より完全免税ではなく軽減税率を適用するか、を選択して申請することになります。また、軽減税率適用の恩典は以下のようになります。

既存BOI恩典取得企業

  • 減少税率適用にあたって、税率は通常の法人税率の50%適用(通常税率が20%の場合、10%の法人税率)が可能です。ただし、この軽減税率適用の期間はもとの免税期間の残存期間の2倍(例:残りの期間が4年の場合は8年)で、かつ、もとの免税期間と軽減税率期間の合計は10年以内とされています。
  • 軽減税率の適用開始は、BOIより適用認可証書を取得してから最初のインボイスが発行された日となります。
  • その他のBOI恩典については影響がありません。

新規BOI恩典申請企業

  • 上記のとおり、適用税率の選択をします。
  • 軽減税率適用の場合は、もとの免税の2倍の期間の適用となりますが、最長は10年となります。
  • BOIより恩典認可証書を取得してから最初のインボイスが発行された日が期間の開始日となります。
  • その他のBOI恩典については影響がありません。

BOI企業で親会社がグローバルミニマム課税の対象となる場合には、BOIの恩典の取得・利用状況も含めて、今回の処置の利用について検討をすすめることが必要になると考えます。

今週もお読みいただきありがとうございました。

Creater : 松木 祐里香