インド株式市場における上場廃止制度
  
Topic : Other
Country : India

SEBI(インド証券取引委員会)は2009年に「株式の上場廃止に関する規則」を導入し、上場株式を証券取引所から除外する手続きの明確化と透明性の向上を図ってまいりました。この制度では、上場廃止は「自主的上場廃止」と「強制的上場廃止」の二つに大別されます。

自主的上場廃止は、企業側の戦略的な判断に基づいて実施されるものであり、株主による特別決議とSEBIの承認を経て行われます。多くの場合、コスト削減や100%子会社化、またはM&Aの一環として実施されます。特徴的なのは、「リバース・ブックビルディング方式」によって退出価格が決定される点であり、これは少数株主の保護を目的としています。

一方、強制的上場廃止は、企業が継続的に上場基準を満たさなかった場合や、重大な規制違反があった場合に、証券取引所またはSEBIにより命じられるものです。株主の同意なしに進められることが多く、退出価格についても独立評価者により決定されるため、株主にとって不利な条件での退出を強いられることがあります。

特に投資家にとって問題となるのは、(1)退出価格の妥当性、(2)情報格差、(3)手続きの遅延、(4)プロモーターによる義務の履行遅延、(5)法的救済手段の制限といった課題です。これらは特に強制的上場廃止の場面で顕在化し、少数株主の権利保護の観点から深刻な問題となっております。

こうした問題を受けて、SEBIは2021年に制度改正を行い、手続きの簡素化、評価基準の透明化、退出義務不履行に対する罰則の強化を進めております。さらに、リバース・ブックビルディングへのプロモーターの参加制限や、複数の独立評価者による査定導入といった提案も検討されています。

SEBIは近年、上場廃止に関する手続きの簡素化や退出価格の透明性向上に向けて改正を進めており、今後はさらに投資家保護と企業活動の両立が求められます。日系企業におきましても、撤退戦略やグループ再編を検討する際には、これらの法制度への理解を深めておくことが必要不可欠です。

本日は以上になります。
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Creater : 北岡 光里

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