KL20 サミットとアクションペーパーについて
  
Topic : Basic Information
Country : Malaysia

マレーシア政府は4月22日、ベンチャー振興フォーラムとしてクアラルンプール市でKL20サミット2024を開催しまいした。

スタートアップやベンチャーキャピタル(VC)の育成・誘致を目的に、10億リンギットの投資基金を立ち上げるとともに、「KL20アクションペーパー」に基づく各種支援策を発表されました。KL20アクションペーパーによると、テック系企業やVC向けの新たなビザや優遇措置があります。

 

■VCゴールデン・パス

(主な特徴)
実績ある国外ベンチャーキャピタルに対し、会社登録までの期間を6週間から2週間に短縮し、資金調達の機械支援、就労パスの取得支援も行う。マレーシア証券委員会が主導。

 

■イノベーションパス

・創業者/起業家
・経営幹部:「Cスイート」および部門の統括責任者
・高度人材:経験豊富で希少なスキルセットを持つ
・一般人材:テック系企業もしくはベンチャーキャピタルにおける通常業務に従事する

の4カテゴリーから成ります。

一般人材は2年、その他のカテゴリーは5年間のビザが発給されます。創業者・起業家および経営幹部向けでは配偶者も就労が認められます。また、高度人材および一般人材向けでは、失業時も最大90~180日の猶予期間が認められる点が特徴です。企業駐在員や現地採用者に発給される現行の雇用パスは就労先とひも付けされ、失業時の国外退去猶予期間は設けられていない。

また、マレーシアへの移住を促進するため、帯同家族のケアにも力を入れる方針です。同パスでは全てのビザカテゴリーに対して2週間の「配偶者プログラム」が提供されます。
・マレーシアのライフスタイルや文化、労働習慣の紹介
・移住経験者の紹介
・外部専門家によるキャリア構築コンサルティング
・リクルーターや人事担当者の紹介
・託児所や語学学校の紹介
・プログラム終了後のフォローアップ

と海外からの移住者に必要な情報を提供する機会が設けられている。

また、ロードマップでは、ユニコーン企業やVC向けにビザ手数料の免除、家賃補助、税制優遇、オフィス移転やバックオフィス業務の補助などを網羅したパッケージ、”シングルウインドー”と呼ばれる進出手続きを一元化するシステム、人材育成プログラム、資金調達プログラムなど、産業エコシステムの整備に向けた多くの施策が盛りこまれました。

「KL20サミット」の開幕式であいさつしたラフィジ・ラムリ経済相は、「今回発表したアクションペーパーは単なる青写真ではなく、(マレーシアへの進出で必要となる)現実的な問題に対処するための施策も盛り込んだ」と自信をしており、有力スタートアップやVCには多様な民族・文化が共存するマレーシアをアジア進出の足がかりにしてほしいと述べました。

また、アンワル・イブラヒム首相は、世界の分断が深まる中で、安定した政治と中立的な外交政策を保つマレーシアの優位性を強調し。世界中から付加価値の高い投資を呼び込むとともに、地元企業の海外進出を後押ししていく考えを示しました。

 

  創業者・起業家 経営幹部 高度人材 一般人材
ビザ有効期間 5年間 5年間 5年間 2年間
就労可能対象 本人及び配偶者 本人及び配偶者 本人 本人
ビザ執行猶予期間 就労先との紐づけ無し 就労先との紐づけ無し 失業から180日 失業から90日
その他 創業メンバー5人まで発給可      

 

■ユニコーン・ゴールデン・パス
グローバルなユニコーン企業(評価額10億ドル以上の未上場スタートアップ)の誘致が目的。

(主な特徴)
株式評価額の高い有望スタートアップの進出を支援。法人所得税の減免、ビザ発行手数料免除、事務所スペースの貸与などを想定。

■ KL20GPU」スキーム

(主な特徴)
人工知能(AI)を用いるベンチャー企業に対し、データセンターの利用を仲介するほか、AI構築に用いる画像処理装置(GPU)の利用費用を補助する。

■イノベーション・ベルト

(主な特徴)
エコシステムプレーヤー間の知識共有や連携を促進するため、イノベーション関係機関をクラスター化。

■シングルウィンドー

(主な特徴)
起業を政策面から支援するための単一窓口を設置。省庁向けの手続きを合理化するほか、資金調達を支援するためのデータベースを構築する。これらはMOSTIが所管する。チャン・リーカン科学技術・イノベーション相は過去に「シングルウインドーにより承認が迅速化し、起業はさらに容易になる」と強調しつつ、資金調達のしやすさ、規制上の障壁、優秀な人材獲得などの面でマレーシアには課題が残るとも指摘していた。「スタートアップ・エコシステムロードマップ(SUPER)2021~2030」を柱にエコシステム強化に向けた取り組みは進められつつあるが、マレーシアのユニコーンは中古車販売カーサム1社にとどまる

Creater : Atsushi iijima