カンボジアの鉄道は、北線と南線の2つの路線が存在します。北線はプノンペンとポイペトを繋ぎ、南線はプノンペンとシハヌークビル港を繋いでいます。 内戦以前から存在し、内戦によって駅舎などが破壊されたり、地雷や洪水などの問題があり、長年十分に機能していません。 また、運行本数が非常に少なく利便性に課題があります。 2005年には、ダイヤの改正がなされ、北線は1日3本、南線は1日1本の列車が設定されました。旅客列車は北線のみで、1週間に1回に削減されました。南線は旅客減少が激しく、山賊に襲撃されるなどの治安問題があったため、2004年に打ち切られています。 2016年には、北線での旅客列車の運行が再開されました。2018年4月4日から、シソポンからタイとの国境にあるポイペトまでの列車の運行も再開され、プノンペンからポイペトまでの直通列車も再開されました。 また2018年4月10日に、プノンペン国際空港までの支線が開業されました。 将来的にはシンガポールから中国雲南省の省都「昆明」まで延長予定の、ミッシング・リンクと呼ばれるプノンペン-ベトナム国境間の鉄道建設が計画されています。 2011年7月に開催された第4回日メコン外相会議において、日本、ラオス、ミャンマー、ベトナム、タイ、カンボジアの代表らは、ミッシング・リンクへの対応を含むメコン地域のインフラ整備について協議しました。 この計画は中国の資本によるものであり、完成後にはカンボジアと中国との距離が一気に縮み、モノとヒトの大移動が可能になります。 2015年には、アジア開発銀行が中心となって大メコン圏地域戦略の提唱を行い推進しています。この戦略はカンボジアに大きな影響を与えており、域内の道路のリンクが重要であると注目されています。技術研究所の設立を目指し国際基準に対応できる技術者集団を作ること、職業訓練施設の設立による知識と技術力の標準化などを行っており、人材登用制度の呼びかけも想定されています。