タイにおける人材不足と賃金高騰リスクについて
  
Topic : Labor
Country : Thailand

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今回は
【タイにおける人材不足と賃金高騰リスクについて】というテーマで、お話していこうと思います。


タイにおける人材不足と賃金高騰リスクについて

タイにおける「賃金上昇懸念」をビジネスリスクとして認識している企業は少なくありません。
その背景にあるタイの人口や失業率の推移を元に、現状の問題を浮き彫りにしていきます。
日本ほどではありませんが、若年層の減少が進んでいます。
将来的には少子高齢化による経済の停滞という日本の抱える問題と同様の問題に直面する可能性があります。

[現在のタイの人口と民族]
タイの人口は、約6,820万人(2016年)で、最新の統計データでは、過去100年で8倍の人口増加があったことが判明しています。
民族的には、タイ族が約85%、中華系が10%、他にモーン・クメー ル系、マレー系、ラオス系、インド系が暮らしており、
山岳部にはそ れぞれの文化や言語を持った少数民族が暮らしています。
タイ族以外 で最も多い華僑のタイ化の度合いも進んでおり、深刻な民族問題は生じていないようです。
また、バンコクを中心とした中央部に人口の約3分の1が集中する という首都への人口一極集中が特徴として挙げられます。

[タイの人口推移予想]
国連のタイ人口推移予想では、前述したように少子化が進み、今後 100年で人口は減少することが示唆されています。

[低下し続ける失業率]
下表は近年のタイの失業率の推移です。タイ国家統計局によると、 2016年10月時点では0.75%で、前年同月を0.1%上回りましたが、
1%以下を維持しています。これはアジアでは1位、世界でも2位の 失業率の低さといえます。
地域別では、人口の集中するバンコクと中 部が0.4%、南部が0.5%、北部が0.2%、東北部が0.6%です。

このような少子高齢化による人口減少と好景気を背景とした失業率の低下は、優秀な労働力の確保をより困難にしています。
また大卒の技術者、マネージャークラスといった高級人材のバンコク居住志向は 極めて強く、
日本人の感覚以上に地方を下に見る傾向が強いため、なかなかバンコクから遠い工業団地には行きたがらないようで、
場合によっては車の送迎やアパートの家賃などの相当の待遇を用意することもあるほどです。

[賃金上昇]
好景気を背景に、各企業が同時期に投資拡大を図ったことから、タイ人労働者の争奪戦が激化しています。
下記のグラフは、主要産業ごとの平均賃金の推移です。

このような賃金上昇が実際に起きているひとつの事例を紹介しておきましょう。
タイ人は、一般的に、タイ人同士に強いネットワークを持っており、賃金だけでなく条件面が少しでもよければ簡単に転職してしまう気質を持っています。
実際に、競合他社の雇用条件の改善により、半数近くの転職があったとする企業もあるほどです。
競業他社の賃金引上げがすぐに情報共有されてしまうために、優秀 な人材を確保するためには賃金を引上げざるを得ないという悪循環を生み、
更なる賃金上昇へと繋がっています。

[政府の 最低賃金引上げ政策]
タイでは、1972年の労働法に基づく内務省令により、1973年以来、地域ごとに最低賃金(日額)が設定されてきました。
これに加え、2008年の労働者保護法の改正により、職能ごとの最低賃金が最低賃金委員会により定められ、
さらには、2011年2月8日、11種の 職能に関して3段階の技能レベルに応じた賃金水準の設定が行われました。
最低賃金の25%引上げ方針を掲げていたアピシット前政権が倒れ、 2011年7月の総選挙で、
1日当たりの最低賃金を300バーツへ引上げることを公約に掲げて勝利したインラック政権が誕生しました。
1 日あたりの最低賃金は、2012年4月1日よりバンコク都と周辺7県 で300バーツになり、2013年1月1日より全国で300バーツに引上げられました。

2013年以来タイ政府は、景気に配慮し2016年6 月まで最低賃金の引上げを行わないことを発表していましたが、
タイ 中央賃金委員会は2016年10月19日、現行300バーツの最低賃金を改定し、国内69都県の経済情勢などに応じて日額5~10バーツ (約15~30円、1バーツ=約3円)の最低賃金引き上げを決定し、 2017年1月より実施しています。

[外国人非熟練労働者の雇用を許可]
国際機関日本アセアンセンターによると、2011年1月23~29 日にかけて行われたタイ投資情報ミッションの報告レポートでのBOIアチャカー・シーブンルアン長官(当時)へのインタビューにおいて、「労働力不足を背景に、労働集約型の産業奨励はいらないのではないかとの議論も出ているものの、政府は国境地帯に特別経済区を設け 労働集約型産業での近隣諸国の外国人非熟練労働者の雇用を許可する こととする(なお、BOI奨励企業ではまだ許可しておらず調査段階)」 ということが取上げられています。


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最後までお読みいただきありがとうございました。

Creater : Shuhei Takahashi

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