シンガポールのGST(消費税)の基本と実務ポイント
  
Topic : Tax
Country : Singapore

シンガポールのGST(Goods and Services Tax:物品・サービス税)は、日本の消費税に相当する間接税で、1994年に導入されました。2024年1月の税率改正により、現在の標準税率は9%となっています。

貿易事業を行う企業や、シンガポールでの会社設立を検討している日系企業にとって、GSTの理解は非常に重要です。

GST登録義務の判断基準

年間の課税売上高が100万SGDを超える企業には、GST登録義務が発生します。この「課税売上高」には、標準税率(9%)の取引だけでなく、ゼロ税率(0%)の取引も含まれる点に注意が必要です。

特に輸出事業を行う企業は、輸出売上は0%税率の課税対象取引として、登録義務判定の売上高に含まれます。そのため、国内売上が少なくても、輸出額が大きい場合は登録が必要になる可能性があります。

Input Tax(仕入税額)とOutput Tax(売上税額)の仕組み

シンガポールのGSTは、日本の消費税と同様の「仕入税額控除方式」を採用しています。GST登録事業者は、顧客から受け取ったGST(Output Tax)から、仕入先に支払ったGST(Input Tax)を差し引いた純額を、四半期ごとに申告・納付します。

日本と異なる点は、課税売上割合による控除制限がないことです。ただし、Input Taxの控除を受けるには、Tax Invoice(税務請求書)と呼ばれる一定の記載要件を満たした請求書の保管が必須条件となります。

貿易事業における注意点

輸出取引は0%税率の課税対象となるため、GSTは課されません。一方、輸入取引では、通関時にシンガポール税関でImport GST(輸入GST)を支払う必要があります。GST登録事業者であれば、この支払ったImport GSTをInput Taxとして控除できます。

また、2023年1月からは、海外から航空便や郵便で輸入される400SGD以下の低額商品についても、シンガポールの消費者向けに販売する場合はGSTが課されるようになりました。越境ECビジネスを検討している企業は、この点を考慮する必要があります。

会社設立時の実務ポイント

シンガポールでは、課税売上が100万SGD未満の事業者はGST登録義務がありません。そのため、スタートアップ期には事実上GSTフリーでビジネスを開始できます。

ただし、登録義務が発生した際の届出が遅れると、GST請求漏れが発生し、会社に損失が生じるリスクがあります。売上見込みが100万SGDを超える可能性がある場合は、任意登録も検討すべきです。

なお、2025年11月からGST登録企業を対象とした電子インボイス制度「InvoiceNow」が段階的に義務化されました。すでに対象となっている企業はシステム対応が必須となっています。

参考文書

• IRAS (Inland Revenue Authority of Singapore): https://www.iras.gov.sg/taxes/goods-services-tax-(gst)/basics-of-gst/goods-and-services-tax-(gst)-what-it-is-and-how-it-works

• GST Registration Requirements: https://www.iras.gov.sg/taxes/goods-services-tax-(gst)/gst-registration-deregistration/do-i-need-to-register-for-gst

 

 

 

今回は「シンガポールのGST(消費税)の基本と実務ポイント」について解説しました。

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