2023年の予算案にて、シンガポールのメイドを雇用する際に支払う雇用税の所得控除規定が、2025賦課年度(YA2025)より廃止になることが発表されました。今回は、シンガポールメイド事情と今回発表された改正について解説していきます。
1.シンガポールのメイド事情
東南アジアでは、出稼ぎの外国人女性がシンガポールで就労ビザを取得してメイド(Foreign Domestic Worker)として働くケースが多く、シンガポールでも例外ではありません。特に、共働きが多く、高齢化社会のシンガポールでは、5世帯のうち1世帯がメイドを雇用していると言われており、日本人駐在員の中でも、雇用しているケースは少なくありません。
2.メイド雇用の条件
最低賃金規定がないシンガポールでは、送り出した国側の賃金水準でメイドを雇用できる点、雇用者にとって魅力といえますが、フィリピン人、インドネシア人など、大使館の指定する賃金水準があり、それらを下回ることができないので注意が必要です。
下のテーブルにメイド雇用の条件、ポイントをまとめました。
| 給与 |
フィリピン人とインドネシア人は大使館の指定により、フィリピン人は月給$570(約5.5万円)、
インドネシア人は$550(約5.3万円)以上に設定する必要がある。
介護が増えると、$600(約5.8万円)を超える。
注:シンガポールに、最低賃金の規定は存在しない。 |
| 福利厚生 |
永住者と国民のみが公的な社会保障制度の対象。
雇用主が衣食住を負担。年間最低$1.5万カバーの医療保険、個人損害補償に加入させる必要がある。
(2023年7月から$6万に引き上げ) |
| 雇用税 |
毎月最高$300の外国人雇用税を、雇用者が納める必要がある。
障がい者の介護などであれば、減税され$60が適用される。 |
| 就労ビザ |
期限最長2年。雇用主が変われば再度申請が必要。 |
| 労働時間 |
規定なし。実質は大半が待機時間。 |
| 休日 |
週に一日 |
| 住環境 |
個室の提供が推奨される。できない場合でもプライバシーの確保が必要。 |
| 副業 |
違法 |
| 講習 |
初めてメイドを雇う雇用主はオリエンテーションの受講が必要 |
3.何が変わるの?
従来、仕事を持つ母親や扶養家族を支援する政府の制度一貫として、配偶者(夫)もしくは本人が雇用するメイドの雇用税が、課税所得から200%相当の控除をすることができました。しかし、現在雇用税そのものが高いとはいえず、優遇税制の条件に当てはまれば$60 と所得控除の恩恵を受けずとも、低い税額を享受できる状態となっています。このことから、課税年度2025以降は、メイド雇用税の所得控除の規定は廃止となります。既に税額が十分に低いことから、納税者への負担の増加は極めて軽微なものかと思われます。
今回は以上です。