【インド労務】EPFO、EPS誤拠出の是正ルールを統一
  
Topic : Labor
Country : India

概要

2025年12月19日、インド従業員積立基金機構(EPFO)は、従業員年金制度(EPS)拠出の誤りが頻発し、年金関連の手続に支障が出ているとして、誤ったEPS拠出を是正する統一的な取扱いを示す通達を発出しました。

対象は、

①本来EPS対象外の従業員にEPS拠出してしまったケース、

②本来EPS対象の従業員なのにEPS拠出できていない(または別勘定に入ってしまった)ケースです。

通達は、EPFO内で拠出金を振り分ける勘定科目(A/c No.1:EPF〔積立〕、A/c No.10:EPS〔年金〕)に基づき、あわせてEPF制度の免除を受け自社の企業年金積立信託(PF Trust)で積立金を運用する事業所か否かに応じて、資金の「物理的移転(振替)」と、会員記録(年金加入期間等)の削除/付与をどのように行うかを明確化しています。

ポイント

①本通達は、EPSに関する「誤った拠出」の是正対象を明確化し、誤りを次の2類型に整理したうえで、全国で統一的に修正できる取扱いを示したものです。(1)本来対象外の従業員に対してEPS拠出をしてしまったケース(2)本来対象の従業員に対してEPS拠出がされていない/別勘定に入っているケース

②是正にあたっては、拠出額を利息込みで算定したうえで、EPFO内部の勘定科目(A/c No.1:EPF、A/c No.10:EPS)または企業年金積立信託との間で資金を「物理的に移転(振替)」することが求められており、単なるデータ修正ではなく、資金の帰属を正しい勘定に戻す運用が前提となっています

③さらに本通達の特徴として、資金の振替と同時に、会員記録(年金加入期間等)の修正まで一体で行うことが明示されています。具体的には、(1)のケースでは誤って付与された年金加入期間を削除し、(2)のケースでは年金加入期間を付与するとともに、必要に応じて不拠出期間の反映も行う点が重要です。

④免除事業所(自社PF Trustで積立金〔EPF〕を運用する事業所)の場合、是正処理がEPFO内で完結せず、EPFOと信託間で資金移転が発生する可能性があるため、非免除事業所と比べて手続・社内調整の負荷が増える可能性があります。

まとめ

今回の通達は、「誤って入った/入らなかったEPS拠出」を、お金(勘定間の移転)と記録(加入期間の削除・付与)をセットで直すという方針を、全国の現場事務所で統一するものです。日系企業の実務では、給与計算・ECR(電子申告)運用のミスが、将来の年金給付や退職時手続きの遅延に直結します。まずは(1)自社が免除事業所か否か、(2)過去分を含むEPS拠出の整合(会員属性・拠出勘定・利息計算の前提)を棚卸しし、疑義があれば早めにEPFOの管轄地域事務所と是正方針を固めるのが安全です。

 

本日は以上になります。
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Creater : 圭良 亀