1. 概要
2025年12月27日付で、ヤンゴン管区において適用されていた午前1時〜3時の夜間外出禁止令が解除されました。本措置は、刑事訴訟法第144条に基づく行政命令の解除であり、対象はココギュン郡区を除く44郡区です。
本件は、単なる規制緩和ではなく、当局による都市管理および治安評価の前提が変化したことを示す重要な判断と位置づけられます。
2. 法的・制度的背景
外出禁止令は、公共の安全および秩序維持を目的として、刑事訴訟法第144条に基づき行政に広範な裁量を与える措置でした。
今回の解除は、当局が以下の点について一定の水準に達したと判断したことを意味します。
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都市部における治安管理能力
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深夜帯を含む統制・監視体制
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公共秩序維持に関するリスク評価の低下
したがって、本件は一時的な緩和ではなく、制度運用上のフェーズ転換と捉えるのが適切です。
3. 「午前1時〜3時」規制の象徴性
2021年以降、深夜1時〜3時は、治安上の観点から特にリスクが高い時間帯と位置づけられてきました。人流が少なく、反政府活動や違法行為の摘発が集中しやすい時間帯であったため、当該時間帯のみ規制が継続されていました。
この時間帯の規制が解除されたことは、深夜帯を含めた都市統治が「管理可能な状態」にあると当局が判断したことを示唆しています。
4. 治安評価に関する留意点
本措置をもって、ヤンゴンの治安が全面的に改善したと評価することは適切ではありません。
解除されたのは、あくまで以下の点に限定されます。
一方で、次のような運用は引き続き残ります。
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当局の裁量による検問や職務質問
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特定地域における突発的な移動制限
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治安機関による現場判断に基づく対応
そのため、法令上の制約緩和と、実務上のリスク低下は必ずしも一致しません。
5. 解除タイミングの背景分析
経済的要因
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経済活動停滞の是正を図る必要性
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夜間経済(物流・サービス業等)の回復促進
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投資環境改善を意識した対外的なメッセージ
政治・対外要因
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選挙プロセス進行下における統治の安定性の強調
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外国投資家や周辺国に対する統治能力のアピール
本措置は、国内事情と対外的要請の双方を踏まえた判断と考えられます。
6. 今後の見通し
短期的には、ヤンゴン全域において再び全面的な外出禁止令が復活する可能性は低いと見込まれます。
一方で、大きな事件や局地的な治安悪化が生じた場合には、郡区単位または時間限定の再規制が行われる可能性は否定できません。
現在の運用傾向は、包括的規制から選択的・局所的規制への移行にあります。