最高裁通達により、外国人とミャンマー国民との婚姻に関する手続要件が大幅に強化されました。
本改正は、従来の実務運用を大きく変更する内容を含んでおり、実務上の影響は小さくありません。
本稿では、改正の概要および実務上の留意点を整理いたします。
1.改正の背景
最高裁は通達において、近年、外国人が虚偽の前提に基づき結婚を行い、その後ミャンマー人女性を国外へ連れ出す事例(人身取引)が増加しているとの認識を示しました。
これを受け、婚姻宣誓書の受理に際しては、従来よりも厳格な書類審査を実施するよう各裁判所に指示しています。
2.主な変更点
(1)ビザ要件の厳格化
外国人は、30日を超えて滞在可能なビザを保有している必要があります。
観光ビザは対象外となりました。
これは実務上、短期滞在中の婚姻手続を事実上困難にするものです。
(2)提出書類の大幅な追加
外国人側に求められる主な書類は以下のとおりです。
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パスポート
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30日超滞在可能なビザの証明
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当該滞在期間中に婚姻を行う旨の入国管理局への届出
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本国大使館発行の婚姻障害不存在証明書
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独身証明または離婚証明・配偶者死亡証明
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永住住所および職業の証明
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収入証明
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無犯罪証明
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配偶者の国籍取得可否に関する証明
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子の国籍取得可否に関する証明
これらの書類は、適切な言語で作成され、公証人または大使館により認証されている必要があります。
3.キリスト教婚姻法への適用
2026年1月15日付通達により、Christian Marriage Act に基づく婚姻についても、仏教婚姻と同様の厳格な審査基準が適用されることが明確化されました。
したがって、宗教上の手続による差異はなく、外国人を含む婚姻については統一的に厳格審査が行われます。
4.違反時の法的措置
通達は、関連法令および通達に違反した場合、法的措置が取られることを明記しています。
形式的な不備のみならず、虚偽申告や不実記載があった場合には、より重大な法的リスクが生じる可能性があります。
5.実務上の影響
本改正により、
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婚姻手続の準備期間が長期化
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本国での書類取得・公証手続が必須化
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短期滞在中の婚姻実行が困難
といった実務的影響が想定されます。
特に駐在員や長期滞在予定者については、早期の準備および専門家への相談が不可欠です。
6.総括
今回の通達は一時的な運用変更ではなく、制度的な審査強化と位置付けるべきものです。
外国人を含む婚姻については、今後も厳格な書類審査が継続されると考えられます。
婚姻を検討している当事者は、制度変更の趣旨および要件を十分に理解した上で、計画的に対応する必要があります。