インドネシア政府は、近年のデジタル経済の加速や環境への配慮を背景に、事業分類の基準となるKBLI(Klasifikasi Baku Lapangan Usaha Indonesia)を、従来の2020年版から2025年版へとアップデートしました。
1. KBLIとは:事業の「身分証」
KBLIとは、インドネシア国内のあらゆる経済活動を5桁の数字で分類したものです。これは単なる統計上の分類ではなく、以下の決定的な役割を担っています。
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外資規制(ネガティブリスト): 外資100%が可能か、現地資本との合弁が必要かの判断基準。
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事業許可(OSSシステム): リスクベースの事業許可(NIB等)を取得する際の基礎。
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税務・コンプライアンス: 納税義務の範囲や投資活動報告(LKPM)の内容に直結。
2. KBLI 2025の主な変更点
今回の改定(統計中央庁規則2025年第7号)では、分類カテゴリーが21から22に増加し、より現代のビジネスモデルに即した細分化が行われました。
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デジタル・AI・クリエイティブ: AI(人工知能)、データ処理、ポッドキャストやストリーミングといったデジタルコンテンツ、eスポーツ関連のコードが新設・明確化されました。
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グリーン経済とエネルギー: 炭素回収・貯蔵(CCS/CCUS)、水素エネルギー、カーボンクレジット取引など、脱炭素に関連する項目が独立したコードとして分離されました。
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金融・暗号資産: 暗号資産(仮想通貨)の自己勘定取引や発行、カーボンユニットの取引などが具体的に分類されました。
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構造の再編: 例えば、これまで「G」カテゴリーに含まれていた「自動車の修理・メンテナンス」が、新設の「T」カテゴリーへ移動するなど、既存の事業区分も一部変更されています。
3. 企業に求められる対応と必要性
「既存の許可があるから大丈夫」と放置するのはリスクを伴います。
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6か月の猶予期間: 規則施行(2025年12月18日)から6か月以内に、既存のKBLIを2025年版に適合させることが求められています。
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OSSシステムでの更新: 多くのケースでは、オンライン・シングル・サブミッション(OSS)システム上でのデータ更新が必要です。
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定款変更の検討: 会社の事業目的を記した定款に旧来のKBLIコードを記載している場合、公証人を通じて定款を変更し、法務人権省の承認を再取得する必要があります。
放置した場合のリスク: 不整合が解消されないと、事業許可(NIB)の凍結や、銀行口座の運用停止、投資報告(LKPM)の不備による行政指導を受ける恐れがあります。