タイ、軽油価格を引き上げ
  
Topic : Economic
Country : Thailand

【燃料不足で政府が謝罪、供給体制の見直しへ】

タイ政府は2026年3月17日、これまで上限を設けて抑制してきた軽油価格について、1リットル当たり0.5バーツの引き上げを実施すると発表しました。今後は段階的に価格を見直し、最終的には33バーツ程度まで引き上げる方針とされています。

今回の措置は、国内で発生している燃料不足への対応として行われたもので、政府は異例の形で国民に対し謝罪しました。燃料不足は全国規模で発生しており、輸送、医療、ごみ収集など幅広い分野に影響が及んでいます。各地のガソリンスタンドでは長い行列が発生するなど、供給面での混乱が顕在化しています。

【背景:流通ボトルネックと中東情勢】

エネルギー省によると、今回の燃料不足は単なる供給不足ではなく、流通段階でのボトルネックが主な要因とされています。

タイ国内には複数の製油所があり供給能力自体は確保されているものの、

  • 大手系列のガソリンスタンドへの優先供給

  • 仲介業者への供給減少

といった構造により、独立系スタンドで燃料不足が発生しました。その結果、利用者が特定の給油所に集中し、混乱が拡大したとされています。

また、中東情勢の緊迫化も影響しており、原油供給の不安定化が市場全体の価格上昇圧力となっています。

【政府の対応策】

政府は今回の事態を受け、以下の対応を進めています。

  • 製油所への増産要請

  • 大手企業に対する仲介業者向け供給の拡大指示

  • タンクローリーの運行時間延長による物流改善

  • 燃料価格の透明化(出荷価格の公表)

また、バイオ燃料の活用を進め、大型車両にはB20燃料の利用を促進する方針も示されています。

【供給面は維持、買いだめ抑制呼びかけ】

政府は、原油在庫については最大約100日分を確保しているとして、供給自体に問題はないと強調しています。一方で、消費者による買いだめが混乱を助長しているとして、冷静な対応を呼びかけています。

【今後の見通し】

政府は価格調整と供給改善を並行して進める方針ですが、
中東情勢の長期化や国内流通構造の問題が続く場合、燃料価格のさらなる上昇や供給不安が再発する可能性もあります。

今回の事例は、タイにおけるエネルギー供給の「構造的課題」を浮き彫りにした形となっており、今後の政策対応が注目されています。

以上、今週もお読み頂きありがとうございました!!

Creater : 松木 祐里香